熱海土石流被害から考える「新築住宅の災害対策」と新しい「災害配慮基準」

熱海土石流被害から考える「新築住宅の災害対策」と新しい「災害配慮基準」

2021.07.28

国土交通省は、長期優良住宅の認定制度に対し新たに「災害配慮基準」を設け、2022年2月に施行することを発表しました。
もともとあった地震に加え、土石流災害や津波、洪水といった災害リスクを認定基準に追加します。

長期優良住宅は「長期優良住宅法」に基づくもので、さまざまな観点から長期に渡って建物を良好な状態で使っていくための構造や設備を有していることが基準に含まれている住宅のことです。

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現在、新築住宅を検討中で長期優良住宅を考えている人も、そうでない人も、近年相次ぐ自然災害を考慮し、災害対策への更なる意識向上や情報共有のため、本記事では現在国が検討中の新しい「災害配慮基準」と、皆さんにも今すぐできる災害対策などについて解説します。

この記事を書いたひと
小林紘大
小林紘大

新潟市内の工務店で家づくりの実務経験を積んだ後にコウダイ企画室。としてフリーランス建築士として活動中。
「楽しい暮らしは自分でつくる」をモットーに新潟の家づくりを楽しく応援していています。

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相次ぐ自然災害を受けて国は「災害配慮基準」を策定中

2021年7月3日に静岡県熱海市の伊豆山地区発生した土砂災害では、発生から3週間経ったあとも救助隊による捜索が続き、自然災害の怖さを改めて目の当たりにした出来事でしたね。
また、2018年7月に岡山県倉敷市真備町に大きな被害をもたらした西日本豪雨では、災害関連死を含めて95名の尊い命が亡くなり、行方不明者も出ています。

こうした被害をうけ国土交通省では自然災害への配慮基準を見直し、いくつかの変更や新しい評価基準の創設を決定。
また、2020年の8月には「水害ハザードマップ」の説明義務化も開始していますが、こちらについては記事の後半で解説します。

「長期優良住宅認定基準の見直し」が行われ自然災害のリスクが高い区域が認定除外へ

まず1つ目は「長期優良住宅基準の見直し」です。

2020年5月、「住宅の質の向上及び円滑な取引環境の整備のための長期優良住宅の普及の促進に関する法律等の一部を改正する法律案」が成立・公布。
長期優良住宅に関するいくつかの法律案が、数ヶ月に渡って検討されますが、本記事では「災害配慮基準の策定」と「住宅性能等評価の省エネ対策に係る上位等級の創設」について一部解説します。

 

災害配慮基準の策定

新しい「災害配慮基準」では、所管行政庁が国の基本方針に基づき、地域の実情を踏まえ設定を行っていきます。

例えば「土砂災害特別警戒区域などでは(長期優良住宅の)認定を行わない」や「災害危険区域などでは建築制限の内容を認定除外も含めて強化できる」「浸水想定区域などでは長期にわたり良好な状態で使用するために必要な措置を定めることができる」などです。

検討会では「現場の実態やコスト等を踏まえた合理的な判断を」という声も上がっており、段階的な認定水準の引上げなども必要だと考えているそうです。

住宅性能等評価の省エネ対策に係る上位等級の創設

災害対策だけでなく、住宅の性能についても検討・見直しがなされています。

例えば、省エネ対策の見直し案では(長期優良住宅の)新築の認定基準をZEH Orientedの水準まで引上げを検討しています。
一次エネルギー消費量も、省エネ基準からさらに20%の削減を認定基準に追加するとしています。

ほかにも、受託性能評価は最高等級として「断熱性能等級5(これまでは等級4が最高)」「一次エネルギー消費量等級6(これまでは等級5が最高)」の新設を検討中です。

 

新潟県における災害対策と今すぐできる防災対策とは?

少し難しい用語が出てきましたが、ここまで紹介した案などは新築住宅を検討するときに考えなければならない「災害リスクへの対策」です。
実際に家を建てるときは建築士や工務店によるところが大きい部分もあります。

そこでここからは、皆さんでも今すぐに実践できるちょっとした防災対策を紹介します。

 

住宅に関わる災害用語と保険

まずは住宅に関わる災害を確認しておきましょう。
一般的に住宅に降りかかる災害は「地震」「火災」「水害」「落雷」「雪災」の5つのうちのどれかに当てはまります。

戸建住宅向けの火災保険は、火災やガス爆発といった事故だけでなく、落雷や風、ひょう(雹)、雪災といった自然災害にも一部対応しています。
そして、水害や水漏れ、盗難や衝突などにも対応可能な場合もあります。
また、住宅総合保険や損害保険、地震保険など災害に対する保険はほかにも幾つかあります。

保険は住宅の性能や自然災害について身近に考える機会でもありますから、住宅の災害や防災について考えるときにはセットで見直してみるのもおすすめです。

 

2020年8月から不動産取引時には「水害ハザードマップ」の説明が義務化されている

住宅認定基準の見直しや性能向上以外にも、国や自治体は少しずつ災害リスクを軽減するための処置を進めています。
「水害ハザードマップの説明義務化」もそのうちの1つです。

2020年8月から、新築住宅はもちろん賃貸契約や不動産取引時に宅建士は、契約者に対し「水害ハザードマップ」の説明が義務付けられています。
水害ハザードマップを入手できる「ハザードマップポータルサイト」は身のまわりの災害リスクを事前に調べることができるサイトで、専用の地図に皆さんの住む街や自宅の住所を入力すると、危険な箇所を視覚的に確認できます。

また、各自治体が作成したハザードマップへのリンクなども提供しています。
「ハザードマップポータルサイト」に付随して、各防災用語を網羅した「防災用語ウェブサイト」や、新潟市が作成したハザードマップへのリンクもあわせて確認してみてください。

ハザードマップポータルサイト紹介
https://disaportal.gsi.go.jp/

防災用語ウェブサイト(水害・土砂災害)紹介
https://www.mlit.go.jp/river/gijutsu/bousai-yougo/

新潟市ハザードマップ
https://www.city.niigata.lg.jp/smph/kurashi/bosai/hinanjo/kouzui_hinanchizu/index.html

専門家たちは日々、住宅の性能や安全性向上に努めている

これまで紹介した災害対策や災害配慮基準のように、国や自治体、そして住宅に関わる専門家たちは、日々皆さんの住む家の性能や安全性の向上に努めています。
しかし、冒頭で紹介した水害や日本で多発する地震などは、どうしても対処しきれない場合もありますよね。

新潟県内で地域に根差した工務店は、過去のその周辺一帯の災害や対策への知識・経験も豊富です。
土地選びのときには、工務店からアドバイスもぜひ参考にしてみてください。

そして、災害への備えは1人ひとりが出来ることもあります。
気になる人はまず、ハザードマップの確認から初めてみるのがおすすめです。