現代建築に伝統技法を合わせた「和モダン住宅」を手掛けるナテリエハウスにインタビュー!

現代建築に伝統技法を合わせた「和モダン住宅」を手掛けるナテリエハウスにインタビュー!
2022.03.05

自然の木材や壁材などをふんだんに取り入れ、伝統的な和の設計とモダンなテイストを取り入れた住宅を手掛けるNaterie House(ナテリエハウス)が本記事の主役です。

ナテリエハウスは創業112年目となる河内工務所を継がれた現代表、河内大志さんが立ち上げた住宅ブランド。
今回は、実際にナテリエハウスが建てたお宅をみなさんと一緒に見ながら、代表である河内さんへのインタビューの模様をお送りします。

インタビュアー
小林紘大
小林紘大

新潟市内の工務店で家づくりの実務経験を積んだ後にコウダイ企画室。としてフリーランス建築士として活動中。
「楽しい暮らしは自分でつくる」をモットーに新潟の家づくりを楽しく応援していています。

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1910年創業の老舗工務店「ナテリエハウス」とは

お話を伺ったナテリエハウス代表、河内大志さん

お話を伺ったナテリエハウス代表、河内大志さん

ー さっそくですが、河内工務所とナテリエハウスについてお聞かせください。

(河内さん)
会社が「河内工務所」で、創業1910年になります。「ナテリエハウス」は屋号というか、住宅ブランドとしてやっています。実家がもともと工務店だったので、私自身が4代目を継ぐ前提で育ってきた経緯があります。

 

ー 創業1910年!今年(2022年)で112年目ですね。

(河内さん)
工務店で4代目は地元長岡市では長いほうかもしれませんね。

 

ー 「ナテリエハウス」のブランド名について教えてください。

(河内さん)
社名の「工務所」は工務店とは少し印象が違いますので、もう少しわかりやすい呼び名はないかと考えて、新しく立ち上げたものです。

ナテリエだけだと伝わりにくいと感じたのと、住宅関連のブランドだと連想してもらいやすいように「ハウス」を付けて、最終的に「ナテリエハウス」にしました。「ナテリエ」はナチュラル(自然)マテリアル(素材)を組み合わせたものです。

昔に比べると地域同士のコミュニケーションも希薄になっていますので、ブランディングと、地元密着で建築業を継続していくために周知してもらう必要があると思っています。

 

ー 会社の様子をもう少し教えてください

(河内さん)
社員は私含め3人です。自社設計・自社施工で年間棟数は1〜2棟ほどですね。ほかにもリフォームや修繕なども手掛けています。
私自身も「住宅トータルプランナー」として、住に関するさまざまなところをお手伝いさせていただいてますね。

 

ー どのような強みやコンセプトをお持ちですか?

(河内さん)
創業時から、地域密着型の工務店として必要なお客さまに迅速に対応できることが強みです。
地元のことは詳しいですし、お客さまも半径3キロ圏内がほとんどですので、仕事も生活圏も同じですね。

職人さんや関連業者さん、宣伝広告で使うチラシ屋さんなんかもなるべく地元のお店にお願いするようにしていますので、家づくりの費用の大部分を地元に還元できるところも意識している点です。

伝統的な大工の技法をふんだんに使った「ワンランク上の自然素材を活かした家づくり」

ー 家づくりのコンセプトについても教えてください。

(河内さん)
自然素材を活かした家づくり・空間づくりを心がけています。それもワンランク上のものです。

 

ー ワンランク上とは?

(河内さん)
自然素材や無垢材は、合板や化学物質を含んだ接着剤を使用した建材に比べ、シックハウスやアレルギーへのリスクが少ないとされています。
壁に使われる素材も同様に調湿性や脱臭性に優れており、暮らしやすさにおいて優れたものとして重宝されています。
耐久性も高く、鉄やコンクリートと比較しても引けを取りません。

ナテリエハウスでは自然素材のなかでも県産杉をなるべく取り入れ、地産地消で循環するかたちを目指しているほか、木材だけでなく壁材などにもこだわっています。
なるべく肌に触れる部分は積極的に使っていきたいですね。

 

ー たとえばどんな素材を採用していますか?

(河内さん)
内装材や床材は新潟の県産杉です。
トイレやバスルームには風化造礁サンゴという壁材を塗っています。
沖縄の海底から採集し、湿気や消臭にも強いという特徴を持っていて、断熱性も高く、漆喰や珪藻土と比べてもヒビが入りにくいというメリットもあります。

県産杉を使用した内装。肌触りの良さのほか、調湿機能などのメリットも持つ。

県産杉を使用した内装。肌触りの良さのほか、調湿機能などのメリットも持つ。

浴室、トイレには風化造礁サンゴを使用。

浴室、トイレには風化造礁サンゴを使用。

 

ー 今回の物件では外観はガルバリウム鋼板を使っているようですね

(河内さん)
そうですね。和風過ぎないように「和モダン」な印象に仕上げています。
軒の出や庇を深くすることで、建物を雨風から守ると同時に生活しやすさもなるべく確保できるようにしています。

 

ー 見た目にもかっこいい軒ですが、ここまで大きく出したのはなぜですか?

(河内さん)
ほかの工務店さんとの差別化のほかに、「住みやすい家」への考え方の違いもあります。
たとえば「高気密高断熱の家」っていまはあたり前のようにやっていますが、それだけが「住みやすさ」じゃないというか。
気軽に窓を開けっ放しにして風通し良くできるのも、「住みやすさ・暮らしやすさ」なんじゃないかと思っています。そのための「大きくせり出た軒」でもありますね。

 

ー 壁は真壁(しんかべ)ですね。こちらも一般的な住宅よりも手間がかかっていそうです

真壁(しんかべ)は、柱を露出する壁のこと。日本国内では主に和室や数寄屋造りや書院造などの伝統工法が用いられた建物、伝統家屋などに見ることができる。外装仕上げに対しても用いられる。

出典:真壁 (建築)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9C%9F%E5%A3%81_(%E5%BB%BA%E7%AF%89)

(河内さん)
柱がすべて見えるようになっているので、仕上げには気を使うところですね。すべてヒノキを使用しています。
リビングの天井には越後杉の造作パネルを使ったり、玄関の両サイドには焼杉板を使ったりなど、伝統的な大工仕事を取り入れていますね。

 

ー ほかにも欄間の装飾などが印象的ですね

(河内さん)
これはお客さまからのご要望があって、建て替え前の家からそのまま流用したものです。
私たちもぜひ残したいと思っていたので、上手く仕上がって良かったです。

肌に触れるところはもちろん、なるべく全体的に無垢材を使うようにしましたね。床材は30mmの板を貼っています。

 

ー 30mmは凄いですね!それだけあると、足元もかなり暖かそうです。

(河内さん)
一方で、トイレや脱衣所はクッションフロアを敷いて汚れにくく掃除しやすいように工夫しています。

 

ー 大工仕事といえば、ところどころに見える埋木の細工もすてきですね。

(河内さん)
ボルト穴などは細工で埋木をしています。
木の節などを補修するための施工技術です。

 

昔ながらの伝統的な技法ですね。

持続性を生み出せるように新しいチャレンジと地道な活動を続けていきたい

ー 実際に家が完成するまでの様子などを聞かせてください。工期はだいたいどのくらいですか?

(河内さん)
全体の期間はご相談いただいてから9ヶ月くらいですね。着工してからは半年ほどです。

 

ー お客さまの要望を聞いたり打ち合わせはどのようなかたちで進めますか?

(河内さん)
すべてお任せいただくのが1番仕事がしやすいというのは前提としてあります。
住んでいれば地元のご近所同士、生活スタイルなどもなんとなく予想は付くわけですし。

 

ー 地域密着型の良さでもありますね

(河内さん)
ご相談いただいたあとは、こちらで起こした案を一度お客さまのところにお持ちして一緒に試行錯誤しています。

 

ー 図面や提案書を見ただけで、お施主様にも伝わりますか?

(河内さん)
ALTA(アルタ:住宅プレゼンシステム)というツールを持参して、ディスプレイをご覧いただいています。
3Dモデルなども表示できるので、とても重宝しているツールです。

 

ー ありがとうございます。今後課題にされているところなどがあれば教えてください

(河内さん)
今回インタビューしていただいて思うのが、もっと過去の施工事例の写真を残しておけば良かったかなとは感じています。
施工事例を見ていただける機会ですし、いまはSNSとか活かせるツールもたくさんありますしね。

 

ー 家づくりの入り口は、ああいったネットメディアが多くなってきていますよね。

(河内さん)
一方で、紙のチラシは結構お客さまから喜ばれることもあります。
特に中高年層のお客様からは、手に取りやすく読みやすいと評価していただいてます。

あとは、自社のWebサイトにはもっと力を入れたいと考えています。
特に弊社の持ち味である「自然素材」をより強くアピールしたいですね。
「自然素材」ってもう色んな建築会社さんが使っているワードなので、そろそろもっと独自性のある表現に変えてもいいのかなと感じています。

 

ー 「ワンランク上の」もそんな思いから付いたコンセプトですね

(河内さん)
そうですね。実際に今回のお宅でもこだわっているところが多いので、しっかりと伝えていきたい部分です。

私たちのような地域密着型の工務店は、数代続いたら辞めてしまうところも多いんです。
理由はさまざまですが、続けていくためのポイントとして大事なのは、こういった新しい物事へのチャレンジや持続性を生み出すような地道な広報活動かなと感じています。

 

ー 地元の付き合いに甘んじずに、常に新しいことへトライする姿勢は大切だと思います

(河内さん)
新築以外にも、リフォームやメンテナンス、ちょっとした修繕工事なんかは地元工務店の得意とするところですし、地域と連携しながら続けていきたいですね!

不思議な安心感を抱く「和モダン」な住宅は伝統的な工法と新しい感性が合わさったもの

長岡市の地域密着型工務店「ナテリエハウス」の河内大志さんにお話をお聞きしてきました。

まず印象的だったのが、軒や欄間、埋木といった伝統的な大工仕事が施された住宅です。
県産杉を中心とした自然素材をふんだんに使用し、温かみと懐かしさのなかに新しさも感じる「和モダン」のお宅は、不思議な安心感を抱きます。

先代から引き継いできた設計・施工技術と新しい感性とが合わさったすてきなお宅でした。


House Info

紹介物件所在地:長岡市稲島
敷地面積:100坪
延床面積:44坪
間取り:4LDK
設計・施工:Naterie House(ナテリエハウス)

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