新潟で家づくりを考える人にお伝えしたい、ウッドショックの現状と対策

新潟で家づくりを考える人にお伝えしたい、ウッドショックの現状と対策

2021.07.05

住宅業界で「ウッドショック」という言葉が注目を集めるようになりました。
2021年6月に入ってから大手住宅メーカーによる木造住宅の値上げが報じられ、家づくりを考える人にとっても気になるキーワードになっているのではないでしょうか。

「ウッドショックで木材価格が跳ね上がる」とか「住宅の着工が遅れる可能性がある」という各メディアの記事を読み、「家づくりを急いだ方がいいのでは」と焦りや不安を感じる方もいらっしゃるのではないかと思います。

そこで本記事では、みなさんと一緒にこれからの家づくりについて考えていくため、ウッドショックの現状を整理してお届けしていきたいと思います。

この記事を書いたひと
小林紘大
小林紘大

新潟市内の工務店で家づくりの実務経験を積んだ後にコウダイ企画室。としてフリーランス建築士として活動中。
「楽しい暮らしは自分でつくる」をモットーに新潟の家づくりを楽しく応援していています。

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ウッドショックとは?家づくりへの影響は?

ウッドショックとはどういった状況なのでしょうか。
日本国内の状況と、世界の木材市場で起きていることをお伝えし、家づくりへの影響についても考えていきたいと思います。

 

約6割を輸入に頼る、日本の木材市場とウッドショック

日本の木材自給率がどれくらいかご存知でしょうか。
現在の木材自給率は、食料自給率と同じくらいで約4割。残りの約6割を輸入木材に頼っています。
木材市場も原油や食物と同じように、購買力がある国、例えばアメリカや中国等で需要が高まると、価格が高騰し、手に入りにくくなります。
この木材価格の高騰や供給不足感がウッドショックと呼ばれています。

第1次ウッドショックは1992年から1993年にかけて起きました。
きっかけになったのは環境問題で、アメリカでは禁伐や伐採規制が行われ、同時期にカナダでも原木伐採削減が行われたことで木材供給が大幅に不足。
木材の市場価格が高騰しました。

第2次ウッドショックは2006年に、BRICsの新興国、とくに中国の木材消費が増加したために、供給が追いつかなくなったことにより市場価格が高騰しました。

そして今回2020年以降のウッドショックが第3次ウッドショックと呼ばれているのですが、その背景についてご説明していきたいと思います。

 

輸入木材が入手しにくくなっている理由

現在日本で輸入木材が入手しにくくなっている理由は大きく分けて2つあります。
1つはアメリカの住宅市場の活性化、もう1つはヨーロッパからの木材輸送コストが上がっているためです。

アメリカの住宅市場の活性化は、低金利によって住宅が購入がしやすくなったことが影響しています。
住宅着工数が増えた分、木材供給量を増やせれば良いのですが、コロナの影響で労働者が減ったり、給付金支給の条件等もあって、アメリカ国内の製材企業は供給量を増やしにくい状況です。

アメリカ国外の木材調達先、カナダでも害虫の影響で供給力が落ちるなど、複数の事情から木材供給が追いついていません。

こうした需要増と供給不足に加えて、アメリカでは木材が投機対象にもなっていることもあり、木材価格が高騰したと考えられています。

ヨーロッパからの木材輸送費上昇については、複数の国をまたぐ貿易の変化が密接に関わっています。
かつてはヨーロッパと日本・中国間での船便による輸出入が盛んでした。
そのため、広島県から東京都まで運ぶトラック運賃と同程度のコストで、ヨーロッパから日本へ木材が届いていました。

ところが米中貿易摩擦の影響で、ヨーロッパと日本・中国間の船便が減少。
船便で使用するコンテナ数の減少もあり、ヨーロッパから日本へのコンテナ輸送コストが大幅に上がりました。
こうした状況の中で、ヨーロッパとアジア間の海運の要所スエズ運河での事故が起き、船便による物資がさらに手に入りにくくなってしまったことも、輸入木材不足に影響していると考えられます。

 

コロナ後、回復傾向にある住宅着工数と国産材

2020年はコロナ禍で住宅着工数が減少すると思われていました。
実際に一時的に減少しましたが、想定より早く2020年8月には着工数が回復してきました。
そのため木材を中心とした住宅を供給する企業では、木材が無くて家が建てられない状況を防ぐために国産材を増産して対応しようとしています。

これまで木材での家づくりには、たわみ強度の強さからアメリカ産のマツが梁の材料として多く使用されてきました。
一方国産のスギは、たわみ強度で比較するとアメリカ産マツよりも強度が低いですが、使い方によっては強度を補うことができます。
また縦方向の強度が必要とされる柱には最適な材料です。
たとえ外国の木材が手に入らない状況でも、国産材を活かす設計を考えていくことで梁や柱に十分な強度もたせた家づくりをすることができるので、木材を供給する企業では国産材活用のアイデアや、スギを活用した新しい材料提案を行なっています。

 

▼参考:家づくりへの影響を示す調査結果

出典:新建ハウジング「全国建設労働組合総連合(全建総連)の組合員工務店(28都道府県・166社回答)を対象に受注(新築、リフォーム・増改築)への影響などについて聞いた実態調査結果」

新潟の場合は?関係者にお話を聞いてみました

ーウッドショックによる影響を感じることはありますか?

(工務店経営者Oさん)

元々国産材で立ておりそれなりのルートは確保していますが、国産材も需要が高まり品切れになりかけています。
会社の方針としてはリノベーションを中心に工程を組み、新築のお客様には工事工程を来年度へずらしていただきました。

 

(設計士Iさん)

木材の影響にて工期の変更は多少ありますが、現状のお客様に関しては確保できています。
ただ、今後の動きにも追従する為に更なるネットワーク構築とリフォーム、リノベの体制を整えている状況です。

 

(K工務店設計士さん)

材料は少し待つ程度で入ってきていますが、値段はどうしようもなく今までの3倍ほどの仕入れ値になっています。
お見積りにも影響が出て、坪単価で4〜6万円ほどの値上がりが余儀なくされています。
また、その他の建築資材も船便減少の影響で値上がりされつつあります。

 

結論:ウッドショックでも家づくりを焦らず、あきらめずに、工務店に問い合わせてみましょう

木材の高騰や工期の遅延などがあるものの、家づくりが全くできない状況ではありません。

木材流通の川上から川下まで、日々状況が変化する中で、関係者の方々が木材供給のために努力されています。

また、ウッドショックをきっかけに国産材や新潟県産材の価値を改めて見直す機会となり、日本の気候風土に合う家づくりができるチャンスが来たと捉えることもできそうです。

ネガティブな情報やデマに惑わされ、焦って家づくりをしたり、家づくりを中止する前に、まずはお近くの工務店に問い合わせをしてみてはいかがでしょうか。