「省令準耐火構造」の基準や性能を解説! メリットやデメリットも
2023.10.29
SNSなどで施工事例などを調べていると、「ロフト」や「小屋裏収納」を持った住宅を目にすることはないでしょうか。三角屋根や勾配天井の家で見かけることが多く、「ウチも作ってみたいな」と思ったことがある人もいるかもしれません。
本記事では、そんなロフトや小屋裏収納について解説します。実際に検討している施主は、とくに必見の内容です。記事の後半では、Mockhouseに掲載されている「ロフト付き住宅」の施工事例も紹介しています。
ロフトや小屋裏収納はどちらも屋根に近いところにあるため、同じ意味の設備と勘違いされがちです。「ロフトは知っていてるけど、小屋裏収納を知らなかった」といった人も多いのではないでしょうか。
不動産情報サイトやお部屋探しをしているときにしばしば見かけるため「同じ”部屋”じゃないの?」と考える人もいますが、ロフトや小屋裏収納は、通常の部屋とは大きく異なります
まずは、ロフトや小屋裏収納の定義から確認していきましょう。
「ロフト」とはもともと「工場や倉庫などの上階」を指すワードで、倉庫などを改装してアトリエやスタジオに利用したり、物置部屋として使用したのがはじまりとされています。
ほかには「納屋や馬小屋で、干し草などを蓄える屋根裏に設けたスペース」といった説もあるようですが、住宅で見かけるロフトは「部屋の上部に設置された半開放のスペース」といったイメージでしょうか。
建築基準法では「小屋裏物置等」として扱われるため、部屋ではありません。
そのためロフトには以下のような制約があります。
※2023年1月時点での規定です
※建築基準法については、必ず設計者に確認をお願いします
自治体によって若干の違いはありますが、概ね上記のような制約が設けられています。なかでも「床から天井までの高さが最大1,400mm以内であること」は施主にとっても重要なポイントです。その他の制約も、いわゆる「居室であるか?」がポイントとなってきます。
ロフトを設置して部屋に使おうと考えている人は注意しましょう。
「小屋裏収納」はロフトに比べ、物置や収納に特化したスペースと考えるとイメージしやすいです。こちらも建築基準法では「小屋裏物置等」として扱われるため、部屋ではありません。ロフトと同じく天井付近にあるデッドスペースを活用した設備であり、以下のような制約があります。
普段は天井裏に隠れており、使用するときは収納はしごなどを使う点がロフトとの違いです。出入り口が開閉式であるため、キッチンやダイニング、廊下の上などに設置することもあります。
ここからは、ロフトや小屋裏収納のメリットを見ていきましょう。いくつかの制約があるとはいえ、設置するだけの魅力もあります。
一般的に天井付近や屋根裏部屋というのは、デッドスペースとなります。天井が高く広々とした空間は、それだけで開放感があり快適な暮らしにつながるともいえますが、人が直接生活するところではありません。そんなスペースを物置などに活用できるのが、ロフトや小屋裏部屋といった設備の魅力です。
加えて、前項で解説した規定「床から天井までの高さが最大1,400mm以内であること」をしっかりと守ることで、固定資産税に含まれないスペースともなります。規定通りに設計しロフトや小屋裏収納として認められれば、そのスペースは「延床面積」に含まれないので、固定資産税の非課税枠です。
「コストを抑えながらスペースを活用できる」という点が、ロフトや小屋裏収納のいちばんのメリットかもしれません。
2つ目は、「ロフトならではのメリット」です。小屋裏収納と違ってロフトは室内の天井付近に設置するのが一般的なため、直下の居室とゆるいつながりをもった空間として機能します。
子どもがおもちゃで遊んだり、夫婦で交代しながらひとりの時間を楽しんだりしつつ、家族のつながりを感じられる空間となってくれます。
3つ目は設計次第ともなるところですが、ロフトを設置した場合、必然的に少し天井を高くした間取りとなるケースが多いです。そのときに、ロフトスペースに光を取り込む小窓を設けると、明るくて広々とした開放的なリビングになります。
場合によっては設置したロフトがアクセントになり、適度な明るさと複雑さをもった「居心地のよいリビング」になってくれることもあります。
次にロフトや小屋裏部屋を設ける場合のデメリットを見ていきましょう。建築基準法では「居室」としては認められていない設備のため、それなりに注意しておくべき点もあります。
本来の目的である「収納部屋」として使用した場合、荷物の管理や実際の出し入れが少し大変な部分もあります。
上り下りは階段か細いはしごまでと決められていますし、天井高も1,400mmまでです。いつ使うかもわからない荷物を詰め込んでおく場所としては、少々使いにくい設備ともいえます。
収納部屋として使う場合は季節ものの洋服やシーズン用品など、出し入れの少ない物を収納し、計画的に利用したいところです。
通気性が悪く熱や湿気がこもりやすいという点もデメリットです。これには、制約のひとつである「人の生活する設備は設置不可」が関係してきます。
採光用の小窓を設けるくらいなら可能ですが、換気扇や人が直接通れる出入り口(ドアなど)は設置できないため、通気性が低いスペースとなってしまいます。
ホコリがたまったり、カビが繁殖しないよう、ロフトの設計や通風計画は担当設計士としっかり打ち合わせをしましょう。
設置費用やメンテナンス費用も、最初に考慮しなければならないポイントです。
ロフトがなければ広いひとつの空間だったものが、ロフトを設けるために、材料費や工事費などがそのぶんかかってしまうことになります。はしごや階段が壊れてしまったり、湿気で床が傷んでしまった場合は、修繕費も必要となってくる経費です。
ロフトの設置は憧れやデザインだけで決めず、「自分たちの暮らしに本当にロフトが必要なのか」をよく考えましょう。
メリットやデメリットを解説したところで、ここからはMockhouseに収録されている「ロフト付き住宅」の施工事例を見ていきましょう。
ロフトや小屋裏収納の規定を知ったあとで読むと、見え方もまったく違ってきますよ!各事例が、どんなことに使っているかにも注目してみてください。
ニコハウス株式会社 | 開放感のあるおしゃれな平屋住宅 |
分類 | ロフト |
階段 | 固定 |
ニコハウス株式会社さまの施工事例です。大きな固定階段を採用し上り下りがラクになるように配慮されています。圧迫感がないように蹴込み板を抜き、光や視線が通るようにしている点もいいですね。むき出しの梁と同色にすることで、デザインに統一感をもたせています。
オーガニックスタジオ新潟株式会社 | リバーサイド日之出「日之出町の家」 |
分類 | ロフト |
階段 | 固定 |
オーガニックスタジオ新潟株式会社さまの施工事例です。大きな窓で光をたっぷりと取り込むことで、明るい空間になっています。クロスも天井まで白を採用。畳を敷きテーブルと座布団を置いて、ゆったりと時間を楽しめそうですね。
ロフトと小屋裏収納について紹介しました。いちばんのポイントは「居室ではない」点です。ロフトや小屋裏収納は、そのための制約があり、しっかりと守って作らないと固定資産税がかかってしまいます。
メリットとしてはロフトを設けたぶん、明るく広々としたリビングになるケースや、余計な出費をかけずにデッドスペースを活用できる点に注目しました。
どちらも一長一短あるため、悩んだらまずは担当の住宅会社に質問してみてください。
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