「省令準耐火構造」の基準や性能を解説! メリットやデメリットも
2023.10.29
新潟県に住んでいると、一度は「結露」に悩まされた経験があるのではないでしょうか。
建築士である私のところにも、以下のような声をよくいただきます。
特に新潟県のような気候の地域では、住宅の結露に関するお悩みが絶えません。
せっかく新築住宅を建てるなら、結露もしっかりと対策して快適に過ごしたいとお考えでしょう。
本記事では、結露のメカニズムを中心に、「結露しにくい家」を建てるためのポイントや結露防止のためのアドバイスなどを解説します。
ときどき「結露しない新築住宅」や「絶対結露しない方法」といった広告などを目にします。
果たしてそんなことが可能なのでしょうか。
その答えを導き出すためには「結露発生のメカニズム」を知る必要がありますが、まずは結露にとって重要な「湿度」について解説していきます。
一般的な「湿度」というと、「相対湿度」を指す場合が多いです。
相対湿度とは、ある湿り空気の水蒸気分圧とその湿り空気における飽和空気の水蒸気分圧の比のことで、「%」で数値を表します。
もう少し噛み砕いて説明しましょう。
ある箱の中の空気中に含まれる水分量が同じだった場合、「冷えた空気」は箱が小さく、「温かい空気」は箱が大きいとイメージしてみてください。
上記の条件の場合、「空気中に含まれる水分量が同じ」なわけですから、冷えた空気の箱は「相対的に湿度が高い」、温かい空気の箱は「相対的に湿度が低い」といえます。
私たちが天気予報などで目にする「湿度◯%」とは、この相対湿度のことです。
生活のなかでも「相対湿度」が大きく関係する事柄があります。
それが「カビ・ダニ」や「インフルエンザ」「シックハウス症状」といった健康被害に影響するものです。
相対湿度と各項目をまとめると以下のようになります。
湿度70%を超えてくるとカビやダニの活動が活発になり、40%以下になるとインフルエンザのようなウイルスや静電気、シックハウス症状が起きやすくなります。
一般的にいわれている「湿度40〜70%くらいがよい」というのは、ここからきているんですね。
さきほど「空気中に含まれる水分量が同じ」という説明をしましたが、ここでピンときた人は察しがいい人です。
湿度には「相対湿度」のほかに「絶対湿度」というものがあります。
結露のメカニズムにはこの「絶対湿度」が関係してきます。
「『湿度』とカビやインフルエンザの関係」でも解説したように、空気は温度によって持てる(含みうる)水蒸気量が変化します。
各温度で最大限含みうる水蒸気の量を「飽和水蒸気量」と呼び、それぞれの温度で実際に存在する水蒸気を「絶対湿度」といいます。
たとえば、「室温30度・湿度50%」と「室温0度・湿度90%」という2つの空間があった場合、30度の部屋は0度の部屋よりも湿度が低いにもかかわらず3倍近い水蒸気量を含んでいます。
湿度(相対)は低くても温度の高い部屋にはより多くの水蒸気が存在するということです。
「相対湿度」と「気温(室温)」から絶対湿度を計算したいときの早見表が以下になります。
ある温度空間の飽和水蒸気量を超えた水蒸気(水分)が気体の状態を保てずに水に変わり、窓ガラスや壁に付着する現象、これが「結露」です。
結露が発生している場所をよく思い出してみましょう。
これらは、温度が高い場所と温度が低い場所の「境界」です。
すべて「飽和水蒸気量」が低いところで結露が起こっています。
結露のメカニズムを解説したところで、ここからは結露が及ぼす悪影響について紹介します。
結露によって引き起こされる被害には次の2つがあります。
結露が発生する場所には湿気がたっぷりとあるため、あっという間にカビが発生します。
そして、カビを餌にするダニが発生し、それらが空気中に混じると「ハウスダスト」へとつながってしまうのです。
カビの発生条件は以下の4つ。
「温度」「酸素」をなくすのは難しいのですが、「水分」や「栄養分」はなるべく与えないように注意したいところですね。
水分は結露、栄養分はお菓子の食べかすなどが原因です。
こまめな掃除や換気、温度と湿度の管理をおこなうことが如何に大切なことか、こういった点からもわかります。
住宅は、みなさんの目には見えない場所にも結露が発生します。
「内部結露」と呼ばれる現象です。
壁や床の断熱材や床下の基礎にも条件さえそろえば結露は発生し、住宅の寿命を縮めてしまう原因となります。
結露防止のためには、湿度の管理がとても大切だということがわかってもらえたのではないでしょうか。
湿度対策を考える場合、こまめに換気をしたり、各メーカーから販売されている加湿器・除湿器などを検討するのもよい方法でしょう。
ですが、湿度管理のためにぜひ生活に取り入れてほしいアイテムを紹介します。
本記事で私がおすすめしたいのは「湿度計を活用する習慣」です。
テレビやネットの天気予報で「気温」をチェックする人は多いですが、「湿度」を気にする人は少ない気がします。
同じように家に「湿度計」を設置して、湿度という観点から生活環境や体調を観察する人が少ないのは、もったいないなと考えています。
結露発生のメカニズムでも解説したように、湿度はみなさんの生活に大きく影響します。
ぜひ、温度計や時計と一緒に「湿度計」を設置してみてください。
最初は以下のような場所に設置すると効果的です。
湿度は結露だけでなく、体調や過ごしやすさなど、生活のさまざまな面で影響してくる要素です。
自宅に湿度計を設置して観察する生活に慣れてくると、湿度を通して世界を見るような感覚になり、思わぬ気付きがあるかもしれません。
ただやみくもに加湿器や除湿器を購入するのではなく、まずは「湿度計」を用意して、それから対策を講じるのがおすすめです。
湿度や結露のメカニズムを理解すると、高性能住宅や換気設備への興味・関心も高まってくるのではないでしょうか。
モックハウスマガジンでは、「高気密・高断熱住宅」や「換気」についての解説記事も用意しています。
興味がありましたら、ぜひそちらの記事も読んでみてください。
ここで、最初の問いにお答えしましょう。
結露はどんな新築住宅でも条件さえそろえば発生します。
物理現象ですので、仕方ありません。
一方で「結露しない住宅」や「結露しない方法」も嘘ではないともいえます。
最新の住宅設備や建築素材には、結露防止も含め「快適に暮らすための工夫」がたくさんなされているからです。
ここでは、結露しにくい住宅を建てるために検討してほしいポイントを紹介します。
断熱処理を検討するときは「結露に強い」ものを選びましょう。
具体的な種類については本記事では割愛しますが、地元の住宅事情に詳しい工務店さんに積極的に相談したり「構造見学会」などに参加して、結露と断熱材について理解を深めながら進めることが大切です。
窓は室外と室内をつなぐ大切な境界線です。
日光を取り込んだり、自然換気をおこなうときに活躍してくれる一方で、結露のような自然現象に敏感な場所でもあります。
結露防止対策として、窓(窓枠)にこだわるのもおすすめです。
特に新潟県のような寒い地域に最適なのが「樹脂サッシ」。
サッシは、アルミ材・アルミ樹脂複合などがありますが、機能面で比較するなら圧倒的に樹脂サッシが優れています。
窓へのアプローチとして、もうひとつ検討してほしいのが、室外に面した窓の内側にもうひとつ窓を取り付けた「二重窓(内窓)」です。
ひとつのサッシに対して、窓ガラスを二重・三重に加工した「複層ガラス(ペアガラス)」と間違われることがありますが、異なるものです。
二重窓は窓をふたつ設置するため、窓と窓の間に生まれる空気層によって高い断熱効果を発揮します。
物理現象である「結露」は、条件さえそろえばどうしても発生してしまう現象です。
完全に防ぎきることはとても難しく、「絶対に結露しない」とはいい切れません。
ですが「結露しにくい住宅」や「結露を防ぐための対策」であれば可能です。
結露しにくく過ごしやすい住宅を建てたい場合は、工務店に相談し設計段階からしっかりと対策するようにしましょう。
2023.10.29
2023.10.27
2023.10.20
2023.10.19
2023.09.22