夫婦で返済!ペアローンで「住宅ローン控除」はどうなるのか

夫婦で返済!ペアローンで「住宅ローン控除」はどうなるのか

2021.08.31

住宅ローンを夫婦で借り入れる方法には、収入合算(連帯保証型、連帯債務型)ペアローンがあります。
新築住宅では多額の資金が動きますから、これらのいずれのローンを組む場合にも、住宅ローン控除による還付金は重要なポイントです。

本記事ではペアローンを前提に、夫婦で返済するときの住宅ローン控除がどのようになるのか、具体的な例をご紹介します。

当サイトでは「夫婦で借りる3通りの住宅ローン」について関連の記事があります。こちらもあわせて確認してみてください。

夫婦で住宅ローンを組むには?3通りの借り方をご紹介
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この記事を書いたひと
岩切 健一郎
岩切 健一郎

1986年生まれ。宮崎出身新潟在住のFP。
新潟大学卒業後、コンサルティング会社と外資系生命保険会社を経て現職。
月間PV最大25,000のnoteを執筆。最近は、3歳の娘と公園に行くことが楽しみ。

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ペアローンでの住宅ローン控除

ペアローンは夫婦2人が個別に住宅ローンを契約する仕組みです。
そのため夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けられます。これはペアローンの大きなメリットでもあります。

住宅ローン控除の控除額は、「年末の住宅ローン残高×控除率1%」で計算できます。
ただし最大40万円の控除です。(2021年8月現在)

具体例で言うと、その年の年末に住宅ローンの残高が1000万円であれば、1000万円×1%の計算で控除額は10万円

もし住宅ローンの残高が5000万円であれば、5000万円×1%=50万円の計算となり、この金額のうち最大控除額の満額40万円が還付されます。

では夫婦2人でペアローンを組んだ場合の控除額を計算してみます。
なお、住宅ローン控除についての詳細はこちらの記事をお確かめください。

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夫婦それぞれの借入額で控除額を計算すると?

仮に4000万円を借り入れるとき、夫が3000万円妻が1000万円を借り入れるなら、夫婦での借入額は3:1の割合になります。

仮にこの夫婦において、その年の年末、住宅ローンの残高が夫2500万円、妻800万円であった場合の住宅ローンの控除額を算出してみます。
夫婦それぞれで「年末の住宅ローン残高×控除率1%」の計算をすると、住宅ローンの控除額は夫が25万円、妻が8万円となります。

ただし計算どおりに控除されない可能性も

先に控除額の計算をしましたが、控除はあくまでも所得税から年末調整されるものです。
また初年度は確定申告が必要です。

例えばパートやアルバイトで年収が低かった場合は、住宅ローン控除の金額が所得税と住民税を上回ってしまうことがあります。
このような場面ではせっかくの住宅ローン控除が使いきれず、大きく損をしてしまいます。

ほかに将来奥様が出産して以降パートで働くことになった場合にも、そのご家庭では思惑通り控除されないことがありますから、慎重に将来設計を検討してください。

 

懸念事項

ペアローンは借入額が増えることからおすすめできますが、いくつか注意したいことがあります。
夫婦で返済していく住宅ローンは人生に関わる重大な選択ですから、ペアローンを検討するときはこちらの内容も参考にしてください。

  • 夫婦で審査を通過しなければならない
    ペアローンでは夫婦それぞれが住宅ローンに申し込みます。
    住宅ローンの審査も夫婦2ともに受けますが、どちらかが審査を通過できなければ、ペアローンを組むことはできません。
  • 諸費用が2人分かかる
    住宅ローンや団体信用生命保険(団信)の加入について、事務手数料や印紙代などがすべて2人分必要です。全体的に高コストになるため、どのような諸経費がかかるか事前に確認する必要があります。
  • 夫婦が個別に加入する団信では、有事に補いきれない
    ペアローンでは夫婦それぞれが住宅ローンを契約するため、団信も個別で加入できます。
    仮に夫婦のどちらかが病気や怪我、死亡した際は、該当者の保険が適用され支払い義務はなくなります。しかしこのとき、もう一方のローンは残ったままです。
    万一夫婦の1人が要介護者になった場合などは、支払い続けることが困難になることも考えられます。
  • 借り入れ額が増えた分、返済額も増える
    ペアローンでは夫婦1人ずつで借り入れを行うので、単純に借り入れ額を増やすことができます。
    しかし返済額も増えるわけですから、収入が減ることがあったり、出産や育児などで出費があれば家計にひびくことになるでしょう。

その他の節税(控除)との組み合わせについて

ペアローンを組むときは、他の所得控除などを加味して検討する必要があります。

例えばiDeCo(個人型確定拠出年金)に加入している場合や、扶養控除や障害者控除などを使っている場合は、所得控除が大きく住宅ローン控除の節税効果を十分に受けられないケースもあります。

無駄のない控除を得るためにも、現在受けている控除等も確認してください。

離婚時のリスク

ペアローンで契約した住宅は共有の名義になるため、万一離婚するとなれば、離婚したあとまで支払いなどに関するトラブルを抱える可能性もあります。

厚生労働省の統計によれば、日本では3組に1組以上が離婚していますから、ペアローンを組むかは、熟慮したほうがよいでしょう。
離婚時の代表的な問題点を挙げますので、こちらも参考にしてください。

  • 共有財産なので住宅の売却が難しい
    夫婦ともに住宅の所有権を持つため、住宅の売却には双方の合意が必要です。話し合いがまとまらない場合、弁護士を立てる必要がありますがお金も時間もかかります。これにより住宅の売りどきを逃すことも考えられます。
  • 互いに連帯保証人というリスクがある
    ペアローンでは夫婦それぞれが住宅ローンを契約し、互いに連帯保証人になっています。そのため一方が支払いを滞らせた場合、もう一方に支払い義務が課せられてしまいます。

 

ペアローンにはメリットとリスクがある

夫婦2人で住宅ローンを借りることができれば、資金に余裕が生まれライフプランを考えやすくなりますね。
しかしペアローンは離婚や支払いに関して大きなリスクを伴います。

夫婦で将来どのように過ごしていくのか、よく話し合ったうえで借り入れを考える必要があるでしょう。

ペアローンを組むときは簡単に決定せずに、二人でローンを組むことのメリットとリスクを十分に知ったうえで検討してください。

またできれば住宅会社のほかにファイナンシャルプランナーなど、積極的に専門家の協力を仰ぎ、しっかりと人生設計をしたうえで慎重に住宅ローンを選んでくださいね。