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新築住宅が高騰中? 住宅価格から考える「家の建て時」とは

新築住宅が高騰中? 住宅価格から考える「家の建て時」とは
2023.02.18

新築住宅の取得を考えたとき、もっとも気になるのが住宅価格です。私も家づくりで悩んでいる施主へは、「なにはなくともまずは予算」とアドバイスしています。着手するタイミングによっては、数百万単位の差額がでてしまうのが住宅ですから、ある程度は市場の動向を見ておくのも大切なのかもしれませんね。

そこで本記事では、10年以上建築業界に関わってきた私から、2023年の住宅価格の予測と、私が考える「ベストな家の建て時」について解説します。

人によっては意外な結論が待っているかもしれません。ぜひ、最後まで読んでみてください。

この記事を書いたひと
小林紘大
小林紘大

新潟市内の工務店で家づくりの実務経験を積んだ後にコウダイ企画室。としてフリーランス建築士として活動中。
「楽しい暮らしは自分でつくる」をモットーに新潟の家づくりを楽しく応援していています。

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相次ぐ価格高騰により市場が冷え切っていた2022年

まずは住宅業界における直近の価格推移から見ていきましょう。モノやサービスなど、さまざまな分野の値段が乱高下したのがコロナ禍です。食品やエネルギー価格が高騰する一方、観光業やサービス業、一部のエンタメ業界などは大きな打撃を受けていました。

住宅業界では「ウッドショック」による資材価格の高騰が記憶に新しいところですが、現場ではコロナ禍以前から資材値上がりの影響があったとされています。

日本の木材自給率がどれくらいかご存知でしょうか。

現在の木材自給率は、食料自給率と同じくらいで約4割。残りの約6割を輸入木材に頼っています。
木材市場も原油や食物と同じように、購買力がある国、例えばアメリカや中国等で需要が高まると、価格が高騰し、手に入りにくくなります。
この木材価格の高騰や供給不足感がウッドショックと呼ばれています。

新潟で家づくりを考える人にお伝えしたい、ウッドショックの現状と対策|マガジンを読む|モックハウス
住宅業界で「ウッドショック」という言葉が注目を集めるようになりました。 2021年6月に入ってから大手住宅メーカーによる木造住宅の値上げが報じられ、家づくりを考える人にとっても気になるキーワードになっているのではないでしょうか。 「ウッド…

ウッドショックは、世間では2020年頃から起きたと認識されているため、コロナの影響と思われがちですが、そうではありません。今回のウッドショックの原因は、大きく分けて次の2つだとされています。

  1. アメリカの住宅市場の活性化
  2. ヨーロッパからの木材輸送コストが上がったため

①は、アメリカの低金利政策によって住宅が購入しやすくなったことや、カナダの害虫による影響で木材の供給力が落ちたことなどが要因で資材が手に入りにくくなったというもの。②は、米中貿易摩擦の影響でヨーロッパと日本・中国間の船便が減少したことに加え、ヨーロッパとアジア間の海運の要所・スエズ運河での事故など、複数の要因が重なって起きたことです。

これらの出来事に新型コロナウイルスの流行が重なり、国内の住宅価格がますます高騰していったのが、ここ3〜4年の状況といえます。

新潟県でも価格高騰が起き、体感では以下のように記憶しています。

【工務店】

  • 2,000万円の家が2,200万円
  • 2,500万円の家が2,800万円
  • 3,000万円の家が3,400万円
  • 3,500万円の家が4,000万円

【ハウスメーカー】

  • 4,000万円の家が4,500万円

ハウスメーカーについては、高所得者層だけを狙った戦略という説や単純に住宅性能が上がったぶんが価格に反映されたという説もありますが、いずれにせよ約200万円〜500万円の値上げは、新車をキャッシュで購入できてしまうほど大きなインパクトがありますね。

こうなってしまうと家づくりを考えている施主たちは、中古や分譲住宅を検討したり、そもそも住宅取得を見送ったりという選択肢をとりがちになります。

さまざまな要因が重なって、家づくり氷河期ともいえたのが2022年までの傾向です。そして、2023年以降も住宅価格は下がらないだろうと見られています。

3つの要因から考える「2023年以降の家づくり」

住宅業界は、すでに資材も住宅売価もピークに達したとみており、これ以上の大きな値上げはないだろうと考えています。

そうなると「いよいよ下がるのでは?」と期待したいところですが、2023年以降は次の3つの要因から、まだまだ住宅価格は下がらないと予測されています。

人件費の増加

ひとつ目は「人件費の増加」です。例えば、家づくりにおいて重要な職人である大工さんは、数が減っており「家を作ってくれる人」を確保すること自体が年々難しくなってきています。資材が高騰したからといって、そう簡単に大工さんたちの費用を下げるわけにはいかないどころか、しっかりとした報酬を支払わなければ、人手を揃えることもできません。

住宅会社に勤務する社員さんも同様に、働き方改革や昨今の賃上げトレンドなどで人件費が上がる可能性は多いにあります。社員さんたちに関しては、ウッドショックやコロナ禍といったここ数年の不景気によって、ボーナスがまともに支払われていないといった人たちもいるでしょう。こちらも大工さん同様、資材が高騰し住宅価格が高止まりしているからといって、払わないわけにはいかない状況になっています。

流通・配送コストの便乗値上げやエネルギー価格高騰

ふたつ目は、流通や配送コストの便乗値上げとエネルギー価格の高騰です。住宅はさまざまな資材を使って建てられています。国産材を使ったとしても、流通・配送コストは大きく影響してくるでしょう。配送業者さんたちにも人件費や設備費、資材費といった経費があり、それらの値上げが建設コストをますます引き上げる可能性は十分に考えられます。

昨今の国内外の情勢により、エネルギー価格も高騰中ですよね。ガソリンや電気は、配送業者さんたちはもちろん、家づくりにも必須となってくるものです。

「住宅性能」に求められる基準が上がっている

3つ目は、ある意味では嬉しい悲鳴かもしれません。Mockhouseでも耐震性や断熱性といった住宅性能の大切さはお話してきましたが、加えてSDGsやサステナブルといった点からも、住宅に求められるクオリティはどんどん上がっています。

住宅に限らず、スペックが上がればそのぶん値上がりするのは自然なことです。仮にどんなに妥協したとしても、国や自治体側から求められる”基準”をクリアするためには、一定以上の性能を担保しなければなりません。住宅性能という面からも、そう簡単にコストカットできなくなってきています。

ベストな「家の建て時」とは?

以上3つの要因から、これからもなかなか住宅価格は下がらないと見られています。人件費もエネルギー価格も住宅性能も、数年待ったところでそう簡単に下がるものではありません。

ここまでは、住宅価格を客観的に評価した場合の話ですが、ここからは家づくりを検討している本人たちという目線から考えてみましょう。家づくりはその後の人生に関わってくる大切なライフイベントです。住宅の価格はそう簡単に価格が落ちることはありませんが、本人やその家族は、何十年と住み続けるものになります。下手に妥協すると、あとあと残念な気持ちになってしまうかもしれません。

市場をチェックしながら、いつ訪れるかわからない価格が下がるタイミングを待つよりも、本人や家族と相談し「建てたい!」と本気で思ったときがベストな建て時ではないでしょうか。

家づくりは「結婚と同じ」と考え、施主の立場になって家づくりを進めてくれる住宅会社も多く知っています。ひとりで悩まずに、ぜひそういった人たちを頼ってみましょう。

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