「省令準耐火構造」の基準や性能を解説! メリットやデメリットも
2023.10.29
「耐震性」や「断熱性」など、住宅の性能を測る指標はいくつかあります。
各指標は建築基準法などで厳しく定められていますが、それぞれの性能を具体的に知るための数値があるのをご存知でしょうか。
専門的な用語を使うので苦手意識を感じる人もいるかもしれません。
しかし、「耐震性能」や「断熱性能」を示す各数値は工務店・ハウスメーカーと一緒に家づくりをするときに、とても重要です。
本記事では住宅の性能を示す3つの指標について解説します。
新しく家づくりを検討している人は、予備知識として押さえておいて損はないですよ。
住宅性能のなかでも、本記事では「断熱性能」を知るための3つの数値「Q値」「Ua値」「C値」について解説します。
家づくりを考えるとき、地震の多い日本では「耐震性能」に注目がいきがちです。
しかし「断熱性能」は、省エネや実際に住むときの快適さにつながる重要な住宅性能なのです。
「断熱性」が高い住宅は、熱い夏の冷房の効き具合や冬のすきま風の心配もありません。
住宅の性能としてしっかりと数値化し高性能な家づくりに活かしているのです。
Q値とは「中の熱がどれくらい外に逃げにくい家か」を表した数値です。
「熱損失係数」といい、断熱性能が高ければ高いほどQ値の数値は小さくなります。
熱が逃げにくい家ということは、冷暖房の効率もよくなり、冷房で涼しくした部屋、反対に暖房で暖かくした部屋の環境をより一定に保ちやすくなるということです。
冷暖房使用時の効率が良くなるということですから、省エネ性能が高い住宅だとも言えるわけですね。
計算式は、
Q値=(各部の熱損失量の合計+換気による熱損失量の合計/延床面積)
です。
少しイメージしにくいですが、建物の中と外の温度を1℃とした場合、1時間あたりにどのくらい熱量が建物の外に逃げてしまうのかを求める計算式です。
しっかりと計算するためには、屋根や天井、壁、床といった各部材の断熱性能と、それらを組んだあとの断熱性、さらに換気によって逃げる熱も考慮しなければなりません。
Ua値とは「どれくらいの熱量が家の外に逃げやすいのか」を表した数値です。
「外皮平均熱貫流率(ねつかんりゅうりつ)」ともいいます。
2021年現在では、Q値よりもこのUa値が省エネ基準を満たしているかどうかの指標になっています。
数値の基準は、Q値と同じく数値が小さければ小さいほど「性能が高い」と判断できます。
計算式は、
Ua値=(各部の熱損失量の合計)/延外皮面積
です。
Q値と比較すると、Ua値は延床面積ではなく延外皮面積で計算します。
また換気による熱量の損失は考慮していません。
もし、冷暖房の効率までしっかりと知りたい場合は、計算は大変ですがQ値も含め工務店に相談してみてください。
C値は「住宅にどれくらいすき間があるか」を表した数値であり、気密性を知るための数値ともいえます。
「相当すきま面積」といいます。
C値は1平方メートルあたりに存在するすき間の面積を示す数値で、小さければ小さいほど高気密な住宅です。
計算式は、
C値=住宅全体のすき間の合計面積(単位は平方センチ)/延べ床面積(単位は平方メートル)
です。
C値はQ値やUa値よりもイメージしやすく、すき間が多い家は「冬は寒く夏はなかなか涼しくならない家」ということになりますから、住宅の性能を測るために大切な数値といえます。
ηA値は「平均日射取得率」といいます。
こちらも耳慣れない用語ですが、建物がどのくらい日当たりの影響を受けるのかと考えるとイメージしやすいと思います。
「日当たりはよいけど、太陽光の影響をあまり受けない住宅」ですから、太陽光発電などZEH住宅を検討するときに考慮したい数値です。
ただし2021年現在、新潟では性能値として公表している工務店はほとんどありませんので、知識として知っておく程度で大丈夫です。
住宅の「断熱性能」を示す各数値の種類を知っていただいたところで、一般住宅の「基準」や「理想」となる数値がどのくらいなのかといった点が気になりますよね。
建築物には平成28年に制定された「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)」という法律があります。
住宅の省エネ性能の評価方法なのですが、省エネ性能が高ければ高いほど「快適な家」ともいえますので、自分の家の性能を知る場合の基準にもなるのです。
例えば「Ua値」は四季や気候などを考慮した全国8つの区分に分けた「地域区分」で、それぞれ基準値が定められています。
実際に皆さんが検討中の住宅性能がどのくらいかという点も踏まえて、担当工務店さんに尋ねてみましょう。
省エネ性能は2021年4月から説明義務制度が開始されています。
建築士は基本的に、建築主(皆さん)へ住宅の省エネ性能を説明しなければなりません。
「理想とする一般的な基準はどのくらいなのか?」でもお話したように、家づくりを考え具体的に工務店に相談をはじめたときに「住宅の省エネとはなにか?」や「基準を満たす住宅にするための設備・追加費用等」についてもしっかりと尋ねておくことが大切です。
基本設計を開始する前には「設計契約」を交わしますので、それまでにどういった家を建てたいのかを具体的にイメージし、完成した住宅の性能をよく話し合いましょう。
省エネ性能の説明を受けるタイミングは着工前の「基本設計・実施設計」を終え、建築士が住宅の「評価」を行ったあとです。
もしそのときに省エネ基準に適合しなかった場合は追加費用や設備の再検討を行います。
出典:省エネ法改正に伴い2021年4月から省エネ性能の説明義務制度が始まります
URL:https://www.co-jsp.co.jp/product/pdf/202103.pdf
住宅には一般的なものより、さらに高い基準を設けている住宅もあります。
例えば最近よく耳にするようになった「ZEH」は、性能の高い設備や管理システムなどを導入し、エネルギーロスを最小限化、さらに太陽光発電で電気を創り出し消費電力を上回ることを目指して設計された住宅です。
また「長期優良住宅」も「長期優良住宅認定制度」という基準を設けており、省エネルギー性も基準項目に含まれています。
「劣化対策等級」といった項目もあり、長く住むためのさまざまな工夫がなされていますので、必然的に省エネ性能も高い状態で維持されやすくなっています。
住宅の性能を示す重要な数値「Q値・Ua値・C値」について解説しました。
すべての数値が平均的であったとしても、基準値をしっかりと網羅した住宅が、快適で安心して暮らす家にはとても大切です。
そして、省エネ性能の説明が義務付けれらているとはいえ、施工してくれる工務店選びもポイントになってきます。
各数値の詳しい計算式などを覚える必要はありませんが、予備知識として知っておけば省エネ性能の説明のときに、建築士からの説明内容がずっと理解しやすくなりますよ。
もし家づくりを検討中に住宅性能が心配になったら、まずは担当の工務店に相談してみましょう。
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