「省令準耐火構造」の基準や性能を解説! メリットやデメリットも
2023.10.29
近年は住宅デザインや間取りのトレンド、考え方の変化から全館空調システムを提案する工務店・ハウスメーカーも増えてきました。
「いつでもどこでも、家全体が快適な空間」といった謳い文句が魅力的に感じる広告もときどき目にします。
しかし採用を考えている人にとっては、初めてことでどういったシステムなのかよくわからない点も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では全館空調のメリットやデメリットをまとめ、どんな空調システムなのかを紹介します。
「全館空調」とは、1つの設備で住宅全体の冷暖房を行うシステムのことで、24時間365日、つねに快適な空調で生活できます。
一般的にイメージされる「エアコンで各部屋ごとの空調を管理する」方式は個別空調といい、部屋ごとの温度はもちろん、廊下やキッチン、玄関など区切られた間取りで冷暖房が行き届かない場所は管理できません。
一方で「全館空調」は、家全体を冷暖房するため、家中の温度を一定に近い状態に保てます。
「全館空調」と「個別空調」双方の違いをイメージすると、全館空調は吹き抜け階段やキッチンとリビングが繋がった広い間取りの、最近主流となっている新築住宅がトレンドです。
反対に「個別空調」は各部屋が個別に区切られた、これまでの日本住宅に合わせたアプローチだったともいえます。
ここで、従来の冷暖房器具について少し解説します。
2021年現在でも一般家庭でよく採用されているエアコンは、先ほども紹介したように「個別空調」と呼ばれます。
これは、部屋の温度を温める(冷やす)ための冷暖房器具です。
一方で今でもたまに見かける「石油ストーブ」や「ハロゲンヒーター」といったものは「採暖(さいおん)」といって、暖房にあたっている人を温めるための器具です。
どちらも暖房器具ですが、人が感じる寒さを緩和するまでのプロセスが異なります。
採暖と似ていますが局所空調というものもあり、限られた小さな部分から冷気や温風を吹き出す仕組みもあります。
冷暖房器具にも色んな種類があるんですね。
新築住宅を検討している人にとって、冷暖房設備はとても悩むところかと思います。
どういった間取りやデザインの家にするかも考慮しなければなりませんが、ここではまず「全館空調導入時」のメリットとデメリットを解説します。
全館空調には以下のようなメリットがあります。
順に解説します。
「全館空調」という名前の通り、リビングやキッチン、各部屋、トイレ、洗面所、お風呂まで、毎日つねに設定した同じ温度で暮らすことができます。
温かい場所から寒い場所に急に移動したときに発症しやすい「ヒートショック」対策や熱中症の予防にも効果的です。
全館空調は想像以上に、家中の広い範囲をカバーしています。
全館空調に採用されている設備は、空調室や壁内などに設置されますので、部屋のインテリアがすっきりするという点もメリットです。
従来のエアコンのような室内機を壁に後付けする必要もありません。
最新カタログのモデルハウスの写真がすっきりおしゃれな印象なのは、こういった違いがあるのかもしれませんね。
全館空調に採用されているシステムは、機械による(室内の空気の)強制排気を行います。
そのときに、家中の換気も同時に行ってくれる点もメリットです。
住宅性能を決める重要な要素として「気密性」「断熱性」がありますが、住宅は「換気」についてもしっかりと考慮しなければなりません。
室内の換気がスムーズに行なわれることによって、シックハウス症候群の防止やカビ・ダニ、結露などの発生防止が期待できます。
※換気や24時間換気システムについてはこちら
全館空調は従来の個別空調(エアコンなど)にくらべ、設備更新コストが少ないというメリットもあります。
例えば「エアコン4台と床暖房」と「マルチエアコン(全館空調設備)1基」を比較した場合、30年後や40年後の設備に対するトータルコストは大きく変わってきます。
標準的なエアコンの耐久年数は10年前後といわれていますので、エアコン4台を10年おきに買い換えることを考えると、マルチエアコンの優れたコストパフォーマンスがわかります。
必要設備として室外機の設置数が少なく済む点もメリットです。
エアコン1台に対して室外機1台だと、設置場所や騒音、オフシーズンの管理などエアコンの数だけ手間や問題が増えてしまいます。
全館空調には良い面もあれば悪い面もあります。
次はデメリットについて解説します。
全館空調のデメリットには以下のようなものが挙げられます。
全館空調の特性が弱点となってしまう点として、冷暖房の弱さが挙げられます。
全館空調は、設計段階から適切な配置を考慮して設備を導入しますので、条件の合った住宅であれば快適です。
しかしながら、断熱性能が適切ではない(低い)住宅だと、なかなかその性能を発揮してくれません。
もちろんこれはどの冷暖房設備にもいえることですが、全館空調はとくに注意したいところです。
新潟県の気候条件をよく知る工務店・ビルダーではあれば、検討時にその土地にあったアドバイスをしてくれます。
迷ったらまずは担当工務店に相談してみましょう。
メリットで設備の更新コストを従来のエアコンと比較して紹介しましたが、反対に全館空調は初期の導入コストがかかってしまうデメリットもあります。
設備そのものの価格のほかに追加の「施工費用」も考慮すると、新車が1台買えるくらいの価格差はあります。
工務店によっては見積もり時に住宅価格に含めて提示される場合もあります。
いわゆるランニングコストも、全館空調のメリットに見合った金額がかかってきます。
設計段階で空調設備に適した性能にすればある程度は抑えられますが、新潟県のような冬と夏の気温差が激しい地域では、シーズン中の電気代に驚いたという声もしばしば見かけます。
修理費が高額になってしまう点にも注意したいところです。
設備にもよりますが、おおよそで30万〜50万は費用がかかってしまうといわれています。
家電製品ですから、当然寿命もあり、入れ替えの場合だともっと高額になってしまうのです。
全館空調は、1つの設備で家全体の空調を管理できるシステムです。
設計上、一箇所壊れてしまうと家中の冷暖房が使えなくなってしまう点もデメリットといえます。
真夏や真冬に故障してしまった場合、すぐに修理業者さんが対応してくれればよいですが、修理が完了するまでの期間中ずっと冷暖房なしで過ごさなければなりません。
全館空調は各部屋ごとの温度調整ができません。
そのため家族など複数人で暮らしている場合、それぞれの好みに合わせた快適な温度に設定できないというデメリットが発生します。
年配の方と小学生くらいの子供では体感温度や求める快適さに大きな差があるものですが、全館空調ではそれらに対応できないんです。
全館空調のデメリットとして最後に紹介したいのは、室内の乾燥についてです。
とくに冬場では、部屋を暖かくするため高い温度に設定します。
しかし、温度と湿度は反比例の関係にあるため、高い温度の送風が湿度を奪ってしまう大きな原因なのです。
全館空調は費用や労力に見合ったメリットがある反面、デメリットも無視ものだったのではないでしょうか。
新築住宅に導入しようと考えている場合は、本記事で紹介したメリット・デメリットを比較し、これから長く住む家に必要なシステムかどうかをじっくりと検討する必要があります。
また、全館空調システムにはメーカーや工務店などによっていくつかの種類が販売されています。
迷ったらまずは工務店に相談してみましょう。
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