「省令準耐火構造」の基準や性能を解説! メリットやデメリットも
2023.10.29
新潟県内で家づくりを検討するとき、必ず考慮してもらいたいのが「断熱性能」です。
一般的な断熱性能で「真冬の寒さにどのくらい耐えられるのか?」や「暖房設備やランニングコストはどのくらいかかるのか?」といったことは誰もが疑問を持つことかと思います。
日本の住宅性能では「耐震性能」と並んで重要視されている「断熱性能」ですが、近年注目されているのが「HEAT20」と呼ばれる新しい断熱基準です。
本記事では次世代の断熱基準「HEAT20」について詳しく解説します。
「HEAT20」とは2009年に発足した「2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会」の略称です。
日本の住宅の性能基準レベルは国で決められているわけではありません。
省エネ法や耐震基準など、各分野で定められているものもありますが、住宅そのものの基準はないんです。
そこで2020年を目処に有識者たちが集まり「住宅の断熱のおすすめ基準を作ろう」と発足されたのが「HEAT20」です。
HEAT20は「明日の日本の住まいの方向性を示し、技術を具現化し、それを促進するための提言をすること」を目指している団体名でもあります。
HEAT20は具体的に次の3つのポイントで、国内の住宅性能の向上を目指しています。
人が長く住むための住宅には欠かせないこれら3つの要素をバランスよく備え、他の工業製品と同じような分かりやすい表示(ラベルにして発行)の実現に向けて活動しています。
HEAT20の基準では、全国を8つの地域に分け「Ua値」という数値を用いて基準値を設定しています。
「Ua値」とは外皮平均熱貫流率(かんりゅうりつ)といい「どのくらい熱量が家の外に逃げやすいのか」を具体的に数値にしたもので、数値が小さいほど断熱性が高いということになります。
詳しい計算方法などはモックハウスマガジンでも解説していますので、ぜひそちらをご覧ください。
※サイト内リンク(Ua値解説記事)
熱が逃げにくい家は、冷暖房の温度も安定し「省エネである」とされています。
そして、新潟県をHEAT20が定めた8つの地域区分に当てはめると「区分4」に該当し、Ua値は「G1」(グレードについては後述します)で0.46、「G2」で0.34となっています。
国が定めた「H28エネ基準」では「Ua値0.75以下」ですので、いかにHEAT20が高い水準を目指しているかが分かりますね。
出典:HEAT20の家(2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会)
URL:http://www.heat20.jp/HEAT20_pamph2018.pdf
前項でも少し触れましたが、HEAT20では断熱性能に3段階のグレードを設定しており、それぞれ「G1」「G2」「G3」としています。
数字が大きいほど性能が高くなり、さらに8つの各地域ごとに推奨水準が設けられています。
ここでは新潟県が該当する「区分4」を中心に各グレードの推奨水準を紹介しましょう。
新潟県でHEAT20の定める「G1」水準にした場合の室内環境は以下の通りです。
新潟県でHEAT20の定める「G2」水準にした場合の室内環境は以下の通りです。
新潟県でHEAT20の定める「G3」水準にした場合の室内環境は以下の通りです。
「G3」は2019年に発表され、もっとも高水準のグレードです。
それまでは「G2」が国内最高とされてきました。
HEAT20の定める3つの推奨グレードをご覧いただいたところで、取得した場合のメリットとデメリットも紹介しましょう。
高い断熱性能が期待できるHEAT20の推奨水準ですが、一般住宅と比較するとどのような違いがあるのでしょうか。
HEAT20の推奨基準で設計した住宅は、国内で高いレベルの「断熱性能」が期待できます。
少ないエネルギーで、一年中快適な空間を保てるのです。
新潟県の凍えるような真冬の寒さでも、猛暑がつづく真夏でも、一定の室温で過ごせるため近年の研究では健康面においてもメリットがあることが分かってきています。
また、人によっては仕事のパフォーマンスアップや疲れ・ストレスも取れやすく、生活の質が根本から変わります。
真冬の風呂上がりに起きやすい「ヒートショック(気温の変化によって血圧が上下し、心臓や血管の疾患が起こること)」の予防にも繋がりますので、新潟県のような真冬の寒さが厳しい土地にとって「断熱性能」は重要な要素ともいえますね。
出典:WHO Housing health guidelines 2018
URL:http://www15.plala.or.jp/noike/_src/345/00501.WHO%20Housing%20health%20guidelines%202018%20japanes.pdf
HEAT20の推奨基準をクリアするほどの省エネ住宅なら、一般住宅にくらべ光熱費や各種設備のランニングコストを削減できます。
もっとも低いグレード「G1」でも、H28省エネ基準の家と比較して約30%の暖房負荷削減率が見込めます。
高い断熱性能を目指し、しっかりと施工された住宅は真冬の結露防止にも効果を発揮しますので、住宅の劣化を遅らせる効果も期待できます。
HEAT20のような高い推奨基準の省エネ住宅を建てようとすると、一般住宅よりも数百万円単位で初期費用がかかってしまう点がデメリットです。
グレードにもよりますが、断熱材だけでなくサッシや窓ガラスなど、基準を満たすためにはそれなりの素材を選ばなければならないからです。
また、高い水準の住宅をそのまま長い年月維持しようとすれば、メンテナンスコストなども多めに見積もっておかなければなりません。
とはいえ「メリット」でも紹介した健康コストや光熱費といったランニングコストが押さえられますので、トータルで十分回収可能というのが今のところの見方となっていますね。
住宅に必須な「断熱性」にもいくつかの基準があり、HEAT20が定めた推奨基準はそれらの中でもたいへん高いレベルを目指しています。
ひと口に「省エネ住宅」といっても、法律で定められた基準からHEAT20のような団体が定めた基準まであります。
関連して、近年では「ZEH」や「長期優良住宅」など、断熱性能以外のところにも力をいれた住宅もあり、いったいどんな家を建てたらいいのか迷ってしまいます。
皆さんが理想とする住宅に少しでも近付けるために、気になる点があったらまずは担当の工務店に相談してみてください。
2023.10.29
2023.10.27
2023.10.20
2023.10.19
2023.09.22