「省令準耐火構造」の基準や性能を解説! メリットやデメリットも
2023.10.29
お家を建てようと調べていて、「パッシブデザイン」いう言葉を目にしたことがありませんか?
このパッシブ(Passive)という言葉はアクティブの反語にあたり、受け身、消極的といった意味合いがあります。
家づくりにおけるパッシブとは、身近にある自然や環境のエネルギー、たとえば太陽、風、地熱などを上手に利用することを指します。
この記事ではそんなパッシブデザインの家づくりについて、具体的に解説します。
これから新築住宅を検討される方は、エコで暮らしやすいパッシブデザインを取り入れてみませんか?
住宅関係の用語で、パッシブデザインのほかにパッシブハウスという言葉もありますが、どのような違いがあるかご存知ですか?
「パッシブデザイン」とは最小限のエネルギーで快適、省エネな住まいをつくろうとする建物設計の考え方や手法をいいます。
そして「パッシブハウス」とは、ドイツのパッシブハウス研究所が、この設計の考え方や手法を用いて家を建てようという基準を設けたものです。
今回は全体を包括する「パッシブデザイン」のポイントをお伝えします。
さきにお伝えしたとおりパッシブデザインは、パッシブハウスより、少し広い意味合いの言葉です。
建てる家全体をドイツの研究所が設ける基準に合わせようとする必要はありません。
パッシブデザインでも十分に省エネ住宅の設計が行えます。
ここからは「パッシブデザイン」について、一緒に5つのポイントを確認していきましょう。
高断熱・高気密の家にすると外気からの影響を減らすことができます。
結果室温を一定に保つことができるので、冷暖房機器の使用を抑えられ、電気代の節約にもつながります。
気密、断熱だけでなく、快適な温度を家の中に蓄える「蓄熱」も重要な要素です。
この場合の蓄熱とは、物質に熱を貯め込むことにより周囲の温度を下げ、室内の温度を一定に保つ仕組みのことです。
この蓄熱したエネルギーは夜に暖房として少しずつ使うなど、あとから利用できます。
「日射の遮へい」は太陽の光の適切な取り込みについて定めたもので、窓の日よけ対策のことです。
室内で過ごす際の夏の暑さと冬の寒さは太陽光によって生じます。この太陽光での熱は約75%が窓から射すものと多くを占めています。
そのためパッシブデザインでは、気候の影響を考慮して窓を配置し、夏は日を遮り、冬は明るく光を取り込むことを目指しています。
自然風を取り入れやすい窓の配置にすることで、暑い時期でも冷房の使用を抑えることができます。
また、通気のための窓には「縦すべり出し窓」を採用することで、効率的に風を取り入れることができます。
なお縦すべり出し窓とは、窓を開くとき建物の外側にせり出すタイプの窓のこと。縦方向を軸として、外に開く仕組みのものです。
パッシブデザインには「昼光利用」という考え方があります。これは日中に電気をつけなくても十分に部屋が明るく過ごしやすい光の使い方を指します。
このような明るい空間をつくるためには、部屋の大きさに合わせた窓を配置し外からの光を取り入れることが必要です。
また吹き抜けや欄間(らんま)など、建物の中に窓からの光が通る道をつくっておき、日の光が届きにくいところを明るくする方法もあります。
日本は気温が高く、湿気が多い四季がある国です。日射量や風量、気温といった自然エネルギーは、住んでいる土地柄と季節により異なります。
自然の力を活かした住宅をつくる「パッシブデザイン」において、日本のような高温多湿の環境に対する設計はなかなか難しいものがあります。
しかし「地域の自然エネルギー」を上手に押さえることができれば、1年を通じ小さなエネルギーで快適に過ごすことができます。
ではここからは、5つのポイントでお伝えした内容を振り返りながら、パッシブデザインのメリットとデメリットを確認していきましょう。
パッシブデザインでは、エアコンなどの人工的な空調に頼らず、年間を通じて安定した室温で暮らすことができます。
日本の家で多い結露も減らすことができるでしょう。
他にもエアコンの効きすぎで体が冷えたり頭痛がするなどの「冷房病(クーラー病)」が起こりにくくなります。気温の変化による血圧の変動で、失神や心筋梗塞等の症状を引き起こす「ヒートショック」を避けることもできます。
また自然の光を十分に活かした建築になるため、季節や時間帯によっては室内の照明をつける必要がありません。環境に優しい住宅を実現できるばかりでなく、室温の調整や照明に対する光熱費を最小限におさえることができます。
このようにパッシブデザインは快適さだけでなく健康面、光熱費に大きなメリットがあります。さらにはデザイン面で採用した窓の配置や光の入れ具合の工夫が、自然におしゃれな室内空間を演出してくれるでしょう。
パッシブデザインの家を建てる際には日射、断熱、蓄熱を重視するので、性能のよい断熱材やサッシといった建材を用いることになります。さらに自然のエネルギーを最大限に活かすためには、住む地域の特性(地形や気候)を考慮することが求められます。
そのため建築の難易度が上がり、建築費が高くなることが考えられます。また外気に触れる面積の多い平屋等を選べば、たくさんの断熱材やサッシなどが必要になるため、よりコストがかかります。
また光や風の通り道を増やすことで快適な環境は得られますが、窓や通風孔が多いほど防犯、防災の面で気を配らなければなりません。
ただし住宅の性能を上げることで光熱費が削減できたり、健康面への良い影響もあります。住んでからの生活を考えれば長い目で見てのメリットがあるため、パッシブデザインを採用する際には、メリットとデメリットをよく理解して家を建てる必要があります。
家を建てる周辺環境には、川や山、風、建物など、パッシブデザインに影響するたくさんの物があります。
これらに加えて方角、気候、住む人の生活スタイルなどを配慮しながら住宅を設計することは、容易ではありません。
しかし住宅会社では国の定めた基準や地域の気候の傾向をみながら、生活環境をシミュレーションし、バランスよく設計することを目指しています。
パッシブデザインに興味が湧いたら、ぜひお近くの住宅会社に相談してみてください。
みなさんもパッシブデザインで、住み心地の良い家を追求してみませんか。
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