「省令準耐火構造」の基準や性能を解説! メリットやデメリットも
2023.10.29
家づくりについて調べているとよく耳にする「ZEH」や「ZEH住宅」という単語。
TVCMや広告などで見かけ、気になっていた人もいるのではないでしょうか。
しかし、ZEH住宅の特徴や詳細などまで詳しく知っているという人は少ないかもしれませんよね。
本記事では「ZEH」や「ZEH住宅」について詳しく解説します。
「ZEH(ゼッチ)」とは「(ネット)ゼロ・エネルギー・ハウス」の頭文字をとった略語で、生活で消費するエネルギーを極力減らし、かわりにつくり出すエネルギーを増やすことで消費エネルギーを上回ることを目的とした住宅です。
「ZEH」のなかに、すでに「住宅」という意味が含まれていますが、本記事では「ZEH住宅」と表記し、ZEHについて紹介していきます。
ZEH住宅には、消費エネルギーを減らすための技術や設備、そしてエネルギーをつくり出す「創エネ」のための設備や技術が多く用いられています。
たとえば住宅の高断熱化や省エネ設備、太陽光パネル、蓄電池などの設置です。
断熱対策をしっかり行うことで、空調もほどほどに快適な生活空間を保つことができます。
また、省エネ効果の高い給湯設備や家電を導入し消費エネルギーを削減したり、太陽光パネルでエネルギーを自家発電し増やす取り組みも行っているんです。
それらは「HEMS(ヘムス:ホームエネルギーマネジメントシステム)」でエネルギー収支を確認しながら、日々の効果を実感できるように設計されています。
ZEH住宅には一戸建ての場合、大きくわけて3つの種類があります。
おおまかに、概要をまとめてみました。
① | ZEH | ・「断熱」+「省エネ」による省エネルギー率:20%以上 ・「創エネ」(再生可能エネルギー)を含む省エネ率:100%以上 |
Nearly ZEH(ニアリーゼッチ) | ・「断熱」+「省エネ」による省エネルギー率:20%以上 ・「創エネ」(再生可能エネルギー)を含む省エネ率:75%以上 | |
② | ZEH Oriented(ゼッチオリエンテッド) | ・「断熱」+「省エネ」による省エネルギー率:20%以上 ・「創エネ」(再生可能エネルギー)を含む省エネ率:再生エネルギーを導入しなくてもいい |
③ | ZEH+(ゼッチプラス) | ・「断熱」+「省エネ」による省エネルギー率:25%以上 ・「創エネ」(再生可能エネルギー)を含む省エネ率:100%以上 ・さらに以下の(a)~(c)より2項目以上をクリア (a)断熱性能の更なる強化 (b)HEMSにより太陽光発電等の発電量を把握し、住宅内の冷暖房、給湯設備等を制御可能 (c)太陽光発電など再生可能エネルギーシステムより電気自動車等に充電可能 |
Nearly ZEH+(ニアリー ゼッチプラス) | ・「断熱」+「省エネ」による省エネルギー率:25%以上 ・「創エネ」(再生可能エネルギー)を含む省エネ率:75%以上 ・さらに以下の(a)~(c)より2項目以上をクリア (a)断熱性能の更なる強化 (b)HEMSにより太陽光発電等の発電量を把握し、住宅内の冷暖房、給湯設備等を制御可能 (c)太陽光発電など再生可能エネルギーシステムより電気自動車等に充電可能 |
予算と希望を考慮し、いくつかの「グレード」のようなかたちで検討できるようになっていまが、細かく設定されている理由は後述する国の補助金制度も関係しています。
高度な断熱性能や省エネ設備に加え、つくるエネルギー「創エネ」まで備え、高い基準をクリアしてZEH受託の認可を得るわけですので、どうしても建設にかかる総合費用は非ZEH住宅と比べると高くなってしまいます。
しかし国は「2030年までに新築住宅の平均をZEHに」を目標として掲げており、その甲斐あってか、太陽光発電(で発電した電気)の買取価格が年々下がっているというデータがあります。
これは、国内のZEH住宅戸数や設置費用が安くなってきているという見方もできます。
住む人や環境に配慮したZEH住宅が、少しづつ普及してきている証拠ともいえますね。
参考:平成 30 年度以降の調達価格等に関する意見|調達価格等算定委員会
URL:https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/data/pdf/20180207001_1.pdf
高断熱対策や省エネ設備を導入することで、ZEH住宅にはたくさんのメリットがあります。
ここでは、ZEH住宅にすることで得られるメリットを紹介します。
ZEH住宅を建てるときは、国からの補助金制度を受けることができます。
ただし補助金を受けるには、登録されたZEHビルダー(工務店・ハウスメーカーのこと)やZEHプランナー(建築事務所)を利用しなければなりません。
補助金制度にもいくつか種類があり、それぞれに補助金額や採択方式が異なるのです。
本記事では詳しい解説は割愛しますが、ZEH住宅をお考えの場合は補助金制度の相談も忘れずに行ってくださいね。
ZEH住宅について「消費エネルギーを減らしつくるエネルギーを増やす」と解説しましたが、一般的な「光熱費」が0円になるわけではありません。
ZEH住宅の目指す「消費エネルギーを減らす」は正確に説明すると「一次エネルギーの消費を減らす」ことです。
一次エネルギーとは石炭や石油、水力といった自然界にあるエネルギー(原料など)です。
そして一般家庭で使っているエネルギーは加工された「二次エネルギー」ですが、この二次エネルギーをつくるためには一次エネルギーの採掘や運搬でエネルギーを消費してしまいます。
ZEH住宅は「一次エネルギー」を基準にしているため、削減目標に一般家電の光熱費は含まれておらず「光熱費が0円」と表現するのはすこし語弊があるんです。
ややこしくなってしまいますが、実際には断熱性能や設計、省エネ設備次第では光熱費はかなり抑えられます。
「つくるエネルギー」として太陽光パネル発電や蓄電池も導入していますので、最終的な収支では黒字になるZEH住宅も多いようです。
ZEH住宅として認可されるためには「省エネ法(エネルギー使用の合理化に関する法律)」によって定めらた基準値を満たしていなければなりません。断熱性能は日本全国の都道府県を6つの地域に区分けしUa値やηa値といった数値で判断します。
ZEH住宅はそんな高い基準値をしっかりと満たした断熱性能なので、ヒートショック(急激な温度変化による体内の血圧上昇や脈拍の変動など)を防ぐことができるんです。
ZEH住宅には、初期費用やメンテナンス費用といったコストがかかってしまいます。
しかしその分、住宅の資産価値は一般的な平均よりも高い評価を得ることができます。
具体的には、2016年4月に国が定めた「BELS(ベルス:建築物省エネルギー性能表示制度)」という住宅の省エネ性能を評価する制度が施行され、ZEH住宅はBELSにおいて高い評価を得ています。
BELSは、建てられた住宅がどの程度省エネに取り組んでいるかを星5段階で評価し性能表示する制度で、星の数が多いほど住宅の資産価値もあがります。
太陽光パネル発電に関連する設備として「蓄電池」があります。
発電した電気を蓄電池に溜めておくことで、災害時に停電が起こってしまったときも、蓄電池に切り替えられます。
また通常時も、日中は太陽光パネル発電で蓄電し、日が沈んだら蓄電池に切り替える、といった使い方もできます。
多くのメリットを備えたZEH住宅ですが、相応のデメリットもあります。
ここからはZEH住宅のデメリットについて紹介します。
ZEH住宅の建設を考えたとき、まず最初に思い浮かぶのが導入コストではないでしょうか。
高い基準を満たしたZEH住宅にするためには、断熱処理や省エネ設備、太陽光発電システム、蓄電池など多くの設備投資が初期費用としてかかってしまいます。
また、設備のメンテナンスコストも考えていかなければなりません。
「ZEH住宅のメリット」でお伝えした「補助金」と併せて、担当工務店さんとよく相談しながら計画を立てるようにしましょう。
「つくるエネルギー」に該当する太陽光パネル発電や蓄電池には、日常生活にとっても多くのメリットがあることをお伝えしました。
しかしながら、太陽光パネルの発電効果は日照時間に大きく左右されてしまうというデメリットがあります。
特に新潟の天候は全国的にみても非常に不安定です。
4月〜10月の半年間は東京などの太平洋側よりも日照時間が長いというデータもありますが、もう半分の11月〜3月の秋から冬は晴れ間がほとんどなかったという年も少なくありません。
新潟でZEH住宅を検討する場合は、建てる場所や家の向き、周囲の状況などを踏まえながら慎重に計画する必要があります。
太陽光パネルを設置する場合、屋根の形や家の向きなどが限定されてしまう点もデメリットです。
家全体のデザインや外観など、大きな買い物だからこそ妥協したくない思いもあるのではないでしょうか。
さらに前項「太陽光発電は安定しない」でも紹介したように、新潟でZEH住宅を検討する場合は考慮しなくてはならないハードルがさらに高くなってしまいます。
長く住む自宅をZEH住宅にすることで得られるメリットはたくさんあります。
環境に配慮した思想や設計、設備を導入することで補助金制度を受けられたり資産価値があがったりといった点は、家づくりにおいてたいへん魅力的ですよね。
しかしその分、初期導入コストやメンテナンスの手間など、考えなければならない点もあります。
特に天候の安定しない新潟では、ZEH住宅のポテンシャルを活かしきれない部分も否めないんです。
客観的なメリット・デメリットだけではなく、土地柄や建設予定地なども考慮して担当工務店さんとよく相談しながら計画してくださいね。
2023.10.29
2023.10.27
2023.10.20
2023.10.19
2023.09.22