「省令準耐火構造」の基準や性能を解説! メリットやデメリットも
2023.10.29
建物のなかにいるとき、断熱材のことまで意識して過ごしている人は少ないかもしれませんね。
しかし、断熱材は人が住む家にとって命といっても過言ではないほど、重要な素材なんです。
断熱材は、壁だけではなく屋根や天井、床下や基礎にまで及び、住人を守ってくれています。
本記事ではそんな「断熱材」の重要な役割や種類、それぞれの特徴を紹介します。
家づくりのときにはぜひ、断熱材にもこだわってみてください。
そもそもなぜ家づくりに断熱材が必要なのでしょうか。
断熱材の種類や特徴のまえに、まずは断熱材が家づくりに影響する効果や重要性、役割を2つにわけて紹介します。
断熱処理がなされていない住宅は、室温調整のために10度以上も温めたり、反対に冷やしたりする必要があります。
冷暖房器具で部屋を温めたり冷やしたりするときの消費エネルギーはかなりのものです。
断熱材は、熱を遮ると同時に閉じ込める効果があります。
冬は温かい熱を逃さす、夏は外の熱をしっかり遮断する役割を果たしてくれるのが断熱材の役割なんです。
室内の温度差や温度変化を少なくすることで、冷暖房費も節約できるうえに、快適に過ごせるようになります。
新潟に住んでいると、冬にはたくさんの雪が降り、どうしても湿度が高くなってしまいます。
また、外気温と室内温度の差で窓や壁に結露が多発してしまうんです。
この結露が増した状態を何年も繰り返していると、どうしても気候がおだやかな地域にくらべ建物の劣化が進んでしまいます。
断熱材には、やっかいな結露を防ぐ「防湿」の効果もあるんです。
断熱材の役割や効果をみてもらったところで、次は種類や特徴を紹介します。
断熱材にはおおきく分けて「鉱物繊維系」「木質繊維系」「発泡プラスチック系」の3種類に分類されます。
まずは、それぞれの特徴やメリット・デメリットを簡単にまとめました。
各素材にもグレードがあり、メーカーによっても特性が異なりますが、ここではおおまかな特徴を解説します。
断熱素材 | メリット | デメリット |
グラスウール(無機繊維系) | 価格が安い | 湿気に弱い |
ロックウール(無機繊維系) | 熱に非常に強い | グラスウールよりも価格が高価・吸水による形状の変化 |
セルロースファイバー(木質繊維系) | 天然由来ならではの防湿・防熱・防虫効果 | 非常に高価 |
硬質ウレタンフォーム(発泡プラスチック系) | 断熱性能が高い・加工しやすい | 燃えると有毒ガス「シアン化水素」が発生 |
フェノールフォーム(発泡プラスチック系) | 熱に強く燃えにくい・熱で縮まず断熱性も高い | 非常に高価 |
ポリスチレンフォーム【ビーズ法(EPS)・押出法(XPS)】(発泡プラスチック系) | 価格が安く加工しやすい | 熱に非常に弱い |
無機繊維系は価格が手頃で普及率の高い断熱素材です。
耐燃焼性がありますが、断熱性能を得るにはある程度の厚みが必要なところがネックです。
防音性と吸音性も高く、防音材としても好まれています。
グラスウールはおもにリサイクルガラスを高温で溶かし、綿状にした細い繊維の集まりです。
繊維同士が絡まり合うことで空気を閉じ込め、軽量で高い断熱性能を発揮してくれます。
もっとも特筆すべき点はコストパフォーマンスの高さで、新潟の住宅でもよく採用される断熱素材です。
しかし、デメリットとして湿気に弱い点が挙げられます。
グラスウールの施工後には気密シートを貼り、しっかりと防湿処理を施す必要があります。
ロックウールはその名のとおり、岩を原料とした断熱素材です。
グラスウールと同様に熱で溶かし遠心力で引き伸ばして繊維状に加工します。
新潟の住宅ではあまり採用されませんが、素材ならではの特性があります。
いちばんの特徴は熱に非常に強い点で、600℃まで加熱しても燃えないほどの耐熱性があります。
外張り断熱材として使用することで、高い断熱性と同時に、火事にも強い家にしてくれます。
天然素材系とも呼ばれる、無添加で素材本来の特性を活かした断熱素材です。
リサイクルされた素材もあり環境にも優しい断熱素材ですが、天然由来のため、ほかの断熱素材にくらべると高価なのがデメリットとなります。
セルロースファイバーは天然繊維の断熱素材です。
古紙や製紙に用いる素材をリサイクルして、耐熱と撥水加工を施しています。
天然繊維の大きな特徴としては、鉱物系繊維と異なり、繊維そのものにも自然の気泡が存在することです。
この天然の気泡のおかげで強い防熱、防音性能を有し、適度な湿度を保ってくれます。
またセルロースファイバーには「ホウ酸」が含まれており、害虫被害防止にもひと役買ってくれるんです。
結露対策にも最適で、断熱材としては非常に優秀な素材といえます。
ただし施工方法が特殊なのと、非常に高価なためコスト面を考えるとあまり採用されない断熱材でもあります。
発泡プラスチック系素材は、プラスチックを原料とした断熱素材です。
プラスチック素材のなかに細かい気泡を閉じ込め断熱材としての機能を構築しています。
繊維系とは異なった断熱素材です。
身近な素材でいうと、ソファーのクッションや台所用スポンジに使われているのがウレタンです。
ウレタンをフロンガスなどの発泡剤で発泡させ、断熱性能を高めたものを断熱材として使っています。
硬質ウレタンフォームは、工場で発泡しボードの状態で出荷されたものを現場で切り出して施工します。
気泡がたくさん内包し水分を吸収しやすいため、防湿対策が必要です。
したがって施工後、気密シートで対策しなければなりません。
しかし防湿対策以上の欠点は、燃えたときに有毒ガスであるシアン化水素を発生することです。
安全性という面では、一考の余地がある素材ともいえますね。
フェノールフォームは、最近あまり使用されなくなりましたが、熱硬化性樹脂でできている断熱素材です。
熱硬化性樹脂とは「熱に強くて燃えにくい樹脂」で、ウレタンフォームのように有毒ガスが発生しません。
さらに熱で縮むこともなく、熱伝導率も低い(つまり断熱性が高い)素材です。
断熱材としてたいへん適した素材といえますが、欠点として価格が非常に高いんです。
またプラスチック断熱材全般にいえることですが、シロアリに弱く簡単にかじられてしまいます。
「ビーズ法」はいわゆる発泡スチロール材のことで「押出法」は、発泡スチロール材と同じポリスチレンを押出機のなかで発泡剤と混ぜ、押し出されたタイミングで発泡させた素材です。
いちばんのメリットとしては、価格が安い点が挙げられます。
さらに、水に強く結露しない点ですね。
施工も容易で利用範囲の広い断熱材といえます。
しかしご存知のとおり、発泡スチロールは熱に弱く、仮に外壁で守られていたとしても、火事のような高温になると熱で縮んでしまうんです。
以上の特性から、基礎などによく使われる断熱素材です。
住宅に採用されるおもな断熱材の種類と特徴をおおまかに紹介しました。
しかし実際にどのような素材で、どういった過程で建物に使われるかは、はやり一般の人にはわかりにくいですよね。
すべてに言えることですが、家づくりを計画するときには担当の工務店や予算と相談して、しっかりみなさんの希望を伝えるのが大切です。
ここまで紹介した点をふまえて、断熱材選びのチェックポイントを今一度確認しておきましょう。
重要なのは「どのような性能をもった家にしたいか」です。
断熱材は、住宅を建てるうえで欠かせない影の功労者です。
とくに新潟のような、季節によって気温差が激しく湿気も多い地域では、断熱材ひとつで家づくりの善し悪しは大きく変わってきます。
本記事で紹介した断熱材の重要性や種類、特徴を事前にしっかり理解し、担当工務店との検討時にぜひ役立ててください。
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