「省令準耐火構造」の基準や性能を解説! メリットやデメリットも
2023.10.29
新しく家づくりを検討していると、考慮しなくてはならないポイントがたくさんあって混乱してしまいますよね。
住宅そのものに関することは、一般の人にはわかりにくいものも多く、工務店・ハウスメーカーに任せっきりになってしまいがちです。
しかしこれから人生を共にし、長く住むであろう我が家を建てるなら、やはり計画時から完成まで納得のいく買い物にしたいですよね。
とくに日本は地震大国といわれるほど震災のおおい国ですから、地震対策は妥協したくないところですよね。
本記事では、これから家づくりを考えている人のために住宅の地震対策、いわゆる「耐震等級」について解説します。
耐震等級とは、家づくりや住宅選びのときに重要となる「地震への強さ」の指標となる基準です。
耐震等級は住宅の性能表示制度を定める「品確法」にそって制定されています。
地震被害の多い日本では「耐震」という言葉をよく耳にするようになりました。
一言で耐震強度といっても、さまざまな規定や要素によって定めらていますが、言葉だけを聞いても意味がわかりませんよね。
次項からは耐震等級のグレード(等級)についてや耐震性能にとって大切な「制振」や「免震」といった具体的な要素まで紹介します。
耐震等級は、建物の耐震性能によってグレードが3段階に分かれています。
地震で建物が破損や倒壊、崩壊しないよう構造躯体の強さや性能を示しています。
数字が大きいほど住宅の耐震性能が高いため、家づくり計画や住宅購入時の目安としても大きな要素となっています。
耐震等級1は、建築基準法で定められている最低限の耐震性能を満たす水準、いわゆる「新耐震基準」のもっとも基本的な等級です。
一般的に、
が目安です。
ただし建築基準法ギリギリの設定で建てられた住宅の場合、震度6から7程度の地震では損傷する恐れもあります。
耐震等級1のおよそ1.25倍の地震に耐えられる性能・耐震強度の水準が耐震等級2です。
ときどき広告などでみかける「長期優良住宅」の表記は、耐震等級2級以上でないと認定されない条件となっています。
余談ですが、災害時の避難所として国や自治体から指定されている施設(学校など)は、耐震等級2以上の性能が必須です。
耐震等級1のおよそ1.5倍の地震にも耐えられる性能・耐震強度を誇るのが耐震等級3の水準です。
住宅性能表示制度で定められた耐震性の中でもっとも高いレベルとなっており、震度6や7相当の地震が一度起こってもダメージが少ないため、震災後も安心して住み続けられるよう設計されているんです。
もちろん、大きな余震がつづいても比較的安心・安全な住宅となっています。
また消防署や警察署といった災害時の救援活動・復興拠点となるような重要な建物は、耐震等級3で建てられています。
工務店や各種メーカーの技術力は年々高くなっています。
そして大きな地震が起きたときは、しっかりと現場の被害状況などを調べ、さらなる安全性や技術力の向上に努めます。
地震被害のデータや工務店の新しい技術を考慮して「建築基準法」も少しずつ改定されていくんです。
ここでは、過去に起きた大きな地震(震度7)による住宅被害のデータを紹介します。
地震により倒壊、崩壊、損傷してしまい住めなくなってしまった家の棟数です。
阪神淡路大震災(1995年)
新潟県中越地震(2007年)
熊本地震(2016年)
参考:地震に強い家って、どんな家?
URL:https://panasonic.co.jp/ls/pasd/pb-techno/lp/jishin2/
地震の規模や起きた場所もそれぞれ異なるので、単に年代で比較することはできません。
しかし、基本的に築年数が浅い(新しい)ほど高水準の住宅となっており、耐震等級の高い建物は年々増えています。
家を建てるとき、耐震等級は1級(建築基準法)を守っていればよく、等級2や3はあくまでみなさんが工務店と相談して決めた、任意の基準です。
注文住宅の場合、工務店が自社の基準や仕様をあらかじめ定めているところもありますが、家を建てる人の希望などに応じて設計してくれるケースもあります。
実のところ、耐震等級は柱の素材や壁の数を増やしたりするだけでも上げられます。
つまり、ただ単に「耐震等級3で建てたい」と伝えるだけでなく、しっかりと間取りなどの希望と併せて工務店に相談してほしいということです。
家づくりにとって、地震対策はとても重要なポイントですので、予算と相談しながら納得いくまで相談してみてくださいね。
ときどき「耐震等級○『相当』」という言葉を目にしませんか。
耐震等級と耐震等級相当には、いったいどのような違いがあるのか疑問に思った人もいるかもしれません。
一般的な平屋や2階建ての木造住宅は「四号建築物」というものに該当し、技術的な基準を満たしていれば「構造計算(建物の構造安全性を科学的に検証し確認するための計算)」をしなくてもよいとされています。
そして四号建築物は、構造計算をしなくても行政から「建ててもよい」という許可を得られるんです。
つまり構造計算をしていなくても、行政の許可を得た住宅は必然的に「耐震等級1(またはそれ以上)」に該当し、震度7クラスの地震に耐えると判断されるのです。
しかし実際は構造計算はなされていないので、性能は不明ということになります。
まとめると「○相当」とは「構造計算がなされていないが技術的な基準を満たし、行政から許可が下りた建物」のことを指します。
さらに「耐震等級3相当」の建物の場合、等級3の性能を持っているが、住宅性能評価機関への申請をせず、正式な認定も受けていない建物のことです。
「耐震等級」の認定は、住宅に対する信頼性以外にも地震保険や住宅ローンで特約が受けられるというメリットもありますし、住宅への資産価値にも影響します。
認定を受けるか受けないかには、こういった違いもあるんです。
認定を受けた場合は証明書類が発行されますので、計画の段階で工務店に相談しながらしっかり吟味したいところですね。
ここでは耐震構造の具体的な種類や特徴について解説します。
一言で「耐震」といっても、地震にたいしてどう対処するかによって、種類や特性が異なります。
また実際に使われている技術にもそれぞれ種類があり、建物内部や基礎部分の構造に用いられるものを「免震制デバイス」と呼んだりします。
本記事ではおもに「制振」と「免震」の2つのデバイスを紹介しましょう。
地震の揺れ、エネルギーを吸収する「制振部材」を建物のなかに組み込むことで、地震発生時の住宅の揺れを軽減することを目的としています。
繰り返しの揺れなどによる歪みを軽減し、柱や梁(はり)といった主要構造部材を損傷させないため、建物の寿命がのび、引き続きデバイスの継続使用が可能です。
本来は、ビルや橋などの大型の建築物に用いられる技術でしたが、近年では技術の進歩によって一戸建て住宅にも採用されるようになっています。
免震は、基礎と建物のあいだに「免震装置」を設置することで、地震の揺れやエネルギーを吸収・遮断する構造です。
地面の揺れを建物に伝えないようにするための技術・装置ともいえます。
大きな地震でも効果を発揮し、建物への被害はもちろん、室内の家具の転倒なども少なくて済みます。
大きな地震に対したいへん効果的な技術ですが、そのぶん価格が高い点がネックとなります。
一般の一戸建て住宅ではあまり普及していません。
新築を検討する場合、現在でもほとんどの人が木造住宅を選びます。
間取りやデザイン、設備なども気になるところではありますが、地震被害のおおい日本では「耐震性能」も大切な要素です。
木造住宅でも、しっかりと構造計算を行い耐震性の優れた家を建てることは可能です。
すみずみまでこだわると、全体の初期費用が予定よりもオーバーしてしまうかもしれません。
しかし、結果的にランニングコストやいざというときの修繕費用などが軽く済む可能性もあります。
なによりもご家族やみなさんの命を守る大切な要素が「耐震性能」であり「耐震等級」なんです。
耐震構造や耐震等級について重要なポイントを把握し、設計計画時や見学会でもれなくチェックしていきましょう。
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