そのデザインは本当に必要?「幸せな家づくり」を実現するための【マズローの5段階欲求】

そのデザインは本当に必要?「幸せな家づくり」を実現するための【マズローの5段階欲求】
2021.10.30

新築住宅を検討中の施主さんをみていると、ときどき以下のような事柄について悩んでいる人をみかけます。

  • マイホームで実現したいことがある
  • 予算は限られている
  • ここだけは優先したい!
  • でも失敗も避けたい……

注文住宅は本当に色々なことを決めていかなくてはいけませんよね。
矛盾が生じたり、相反する希望や条件もたくさん浮かび上がってくると思います。

家づくりは、どんな考え方を基準に取り組んでいけばいいのでしょうか?
本記事では、みなさんにとって土台となる「家づくりの考え方」について、お話します。

この記事を書いたひと
小林紘大
小林紘大

新潟市内の工務店で家づくりの実務経験を積んだ後にコウダイ企画室。としてフリーランス建築士として活動中。
「楽しい暮らしは自分でつくる」をモットーに新潟の家づくりを楽しく応援していています。

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家づくりで本当に優先すべきこととは

住宅業界の広告で、「夏は涼しく冬は温かい」や「結露しない住宅」といったキャッチコピーを見かけます。
予算や建てる場所、どんな機能性を持った住宅を選ぶかによって、上記のような条件を叶えることは可能かもしれません。

ですが、住む人によって「快適」と感じるポイントは異なるため、完成した家に住んだときの満足感は違います。

デザインや間取りはどうでしょう?
住宅だけでなく、外構(庭)まで含めるとキリがありません。

そんなとき、私は「マズローの5段階欲求」をヒントにアドバイスすることがあります。

「マズローの5段階欲求」から考える家づくり

マズローの5段階欲求」とは、アメリカの心理学者『アブラハム・マズロー』が提唱した人間の欲求の階層を説明したものです。
人間の自己実現を研究していたマズローは、「人間の欲求はピラミッドのように5つの階層で構成される」と考えました。

5つの階層とは、次のように分けられます。

  • 第1段階:生理的欲求
  • 第2段階:安全欲求
  • 第3段階:社会的欲求
  • 第4段階:承認欲求
  • 第5段階:自己実現欲求

家づくりについて考える前に、まずはこの「マズローの5段階欲求」について簡単に説明しましょう。

第1段階:生理的欲求

生理的欲求」はピラミッドのもっとも最下層に位置し、すべての欲求を支えています。

「生理的」とは、睡眠や排泄、食事などのことですから、私たち日本人を含めた、すべての人間の幸せの根源にある重要な要素です。
「生理的欲求」が満たされない暮らしは本当に辛い日々ですよね。

生きていくための基本的かつ本能的な欲求だといえます。
私たちはいかなるときでも、まずはこの「生理的欲求」を満たさなければ生きていけません。

第2段階:安全欲求

2段目は「安全欲求」です。

身の危険を回避し、安全に生活したい・生きたいという欲求を指します。
心身ともに健康で安定した暮らし…家づくりに密接に関係すると思いませんか?

「衣・食・住」はさきほどの「生理的欲求」と、この「安全欲求」までで説明可能な、まさしく生活に必須な要素だったんですね。

第3段階以降:社会的欲求・承認欲求・自己実現欲求は?

第3段階目以降も見ていきましょう。

3段階目の「社会的欲求」とは、いわゆる「所属」と呼ばれる欲求のことで、集団に属したり、仲間や家族を求めようとする欲です。

現代社会で「社会的欲求」が満たされないと、次第に孤独感や社会的不安を感じやすくなってしまいます。

4段階目の「承認欲求」は、社会のなかで尊重されたいと願ったり、評価されたいと感じる欲求です。

5段階目の「自己実現の欲求」とは、心のなかに秘めている可能性や使命の達成を目指したいという欲求で、最上層に位置します。

「マズローの5段階欲求」を住宅に当てはめると……?

ここからは、さらに具体的にマズローの5段階欲求を家づくりに当てはめて考えてみます。

注文住宅を建てるとき、どの欲求が重要なのかひとつずつチェックしてみましょう。

「生理的欲求」は住宅完成後を含めたトータルのコスト

1段階目の「生理的欲求」とは、おもに睡眠や食事、排泄を指しますが、家づくりに当てはめて考えると「住宅完成後を含めたトータルコスト」といえます。

安全性や快適性と考えがちですが、家づくりのすべてのベースになるのは「予算」や「ランニングコスト」です。

モックハウスマガジン内の別記事でも解説していますが、家を作るときの費用や生活していくための費用は、実はもっとも初期の段階で考えなければならない事項です。

あまい見積もりは命取り!? 土地や建物以外にかかる「諸費用」について解説|マガジンを読む|モックハウス
宅地(土地)や住宅以外の家づくりにかかってくる費用について解説しています。大きな金額に目がいきがちですが、細かな費用も甘く見ると予想以上の出費につながってしまい予算オーバーといったことになりかねません。

 「安全欲求」は住宅の耐久性や住みやすさ

2段階目は「安全欲求」ですが、タイトルや冒頭でお話した「家づくりの考え方」はここが重要です。

1番目に「予算」がくるのはだいたいの施主さんに理解していただけますが、この2段階目からぼやけてしまうパターンがとても多いんですね。

「安全欲求」は、マズローの5段階欲求のうえでは「身の危険を回避し、安全に生活したい・生きたいという欲求」ですから、家づくりに当てはめると「住宅の耐久性」や「住みやすさ」となります。

  • 安全基準にそって建てられた家か
  • 地盤はしっかりしているか
  • 健康被害を引き起こす素材を使っていないか
  • 一定以上の気密性や断熱性は確保されているか

みなさんがイメージする「ほしい暮らし」が、上記のような要件を満たしているかについてじっくり考えてみましょう。

おしゃれなデザインや間取り、最新の設備は魅力的ですが、みなさん自身や家族がこれから何十年先に渡って、安全・安心に暮らしていける家かどうかも、家づくりにとって大切なポイントではないでしょうか。

「社会的欲求」以降はデザインや趣向領域

3段階目の「社会的欲求」以降は、みなさんの趣向が強く影響してくる領域です。
デザインや間取り、家具や家電、照明などを考えるのは、とても魅力的でわくわくしてくるところですよね。

もちろん、こういった要素を否定しているわけではありません。
せっかく注文住宅を検討しているのですから、大いに想像して理想の暮らしを求めてほしいと私も考えます。

ですがみなさんにとって大切な「建築費用・ランニングコスト」や、「安全・安心な暮らし」と比較して、どう折り合いをつけていくかがポイントとなってくるところでもあります。

工務店選びにも「マズローの5段階欲求」を当てはめてみよう

工務店選びも「マズローの5段階欲求」を当てはめて考えてみると、いままでと違ったものが見えてきます。

ひとことで工務店やビルダーといっても、

  • 規模や施工エリア
  • 得意分野や経験
  • 施工の精度や工期
  • アフターサービス(メンテナンスなど)

など、さまざまな要素を持っています。

冒頭で紹介した「夏は涼しく冬は温かい家」や「結露しない家」にも、色んなアプローチ、考え方がありますので、すべての建築会社が同じ家を建てるわけではありません。

みなさんがどんな考え方で家づくりを進めたいか、優先度や重要度をしっかりと見極めて臨んでほしいと思います。

人間にとっての純粋な欲求から逆算すると優先順位は見えてくるかも

今回はいつもと少し違った観点から家づくりの考え方について解説しました。

「マズローの5段階欲求」を日本の恵まれた社会に当てはめて考えると、少し素っ気なく感じたかもしれませんよね。

ですが、人が持つ純粋な欲求から逆算して深堀りすると、家づくりで悩みやすい「重要度・優先度」も、ずっと整理しやすくなります。

注文住宅なら、理想のデザインや間取りが叶えられるかもしれませんが、いままで住んだことがないような「安全性」や「快適性」を得られるチャンスでもあります。

ぜひ本記事で紹介したような考え方も参考にしてみてくださいね!

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