「省令準耐火構造」の基準や性能を解説! メリットやデメリットも
2023.10.29
注文住宅を検討してから完成して引き渡しになるまで、施主は実際の家を自分の目で確認することはできません。完成して初めて、実物を目の当たりにするのが注文住宅づくりです。
そこで建てている最中、たいへん重要になってくるのが「設計図」。
本記事では住宅の設計図について、解説していきます。
設計図と聞くと、ものづくりをしている人にだけ関係のある専門的な書類といったイメージがありますが、冒頭でもお話したように注文住宅を建てている施主にとっても大切なものです。
これから暮らしていく住宅の情報が網羅されており、完成するまでは設計図をみながら実際の住宅の様子をイメージします。
建売住宅とは異なり契約時には建物はまだ影もかたちもありませんので、設計図だけが頼りとなるのです。
そのため初めて注文住宅づくりを経験する施主でも、ある程度は設計図の見方を把握しておいたほうがよい場面はたくさんあります。
家づくりにとって設計図は重要であり、施主であるみなさんも頻繁に内容を確認することになります。
家づくりに使う設計図はざっと並べただけでも10種類以上あり、それらをまとめて「設計図書」と呼びます。
以下に、主な設計図面を取り上げてみました。
設計図の種類 | 形式 | おもな確認項目 |
配置図 | 建物と敷地を真上から見た図 | 庭やガレージの広さ、距離 |
平面図 | 各階を水平に切り取り、真上から見た図 | 各部屋の間取り、広さ |
立面図 | 建物の外観を東西南北の4面から表した図 | 外構の位置関係、デザイン |
断面図、矩計図(かなばかりず) | 建物を垂直に切り取った図 | 床の厚さ、ドアや窓の高さ |
平面詳細図 | 平面図をより詳細にした図 | 家具や建具のサイズや納まり |
構造図、基礎伏図、屋根伏図 | 建物の構造部材を表した図 | 建物のおおよその大きさや規模 |
展開図 | 部屋の中心から各壁4面を1面ずつみた図 | 各部屋ごとの詳細情報 |
設備図、電気配線図 | 各住宅設備の取り付け位置を示した図 | 各部屋のコンセントの位置や数 |
外構図 | 外構を真上からみた図 | デザイン確認、地面の仕上げ、植栽 |
仕様書 | 工事の内容や方法を記載する書類 | 施工方法、使用する材料など |
みなさんが不動産屋さんなどでよく見かける図面は「平面図」です。
部屋の間取りや面積をわかりやすく表しています。
それ以外はなんとなく想像がつくものから、何を表した設計図面かまったく検討がつかないものもあるのではないでしょうか。
次からは、それぞれの設計図面をざっくりと解説しますので、どのような目的をもった図面なのかといった点に注目して読み進めてみてください。
建築会社によって図面の枚数が違います。
建築物が、敷地に対してどのように配置されるかを真上から眺めた状態で表したのが「配置図」です。
平面視点では家が道路と平行に並んでいるように見えていても、実は少し角度が付いていたり、隣地境界線までの距離などが数値で確認できます。
施主が見るべきポイントとしては、建物や庭、ガレージの配置や広さ、一般道からガレージ、正面の門、玄関までのアプローチには問題がないか。
勝手口などを設ける場合は、不便な場所ではないか。
また日当たりや視線、隣近所との距離や関係などに注目してみるとよいでしょう。
みなさんがもっとも見慣れているのが「平面図」です。
各階ごとに建物を水平に切り取った図で、真上から見た状態で表します。
各間取りの広さを確認するには、図面の周囲に記載された数値を読みます。
平面図で表される間取りの奥行きや廊下、出入り口の数値は「一方の壁の中心からもう一方の壁の中心」を測った「心々寸法」で記載されているので、注意が必要です。
「立面図」は、建物の外観を東西南北の4面から表した図面です。
住宅完成後の外観がイメージしやすいので、施主のみなさんも確認する機会が多い図面の1つです。
建物を外から見た場合の玄関扉や窓、フェンスやバルコニーのサイズ感、位置関係がわかります。
見落としがちな庇(ひさし:玄関の上に設置する出入り口用の屋根)や、玄関周りのデザインなどはしっかりとチェックしておきましょう。
「断面図」は、建物を垂直に切り取った様子を表した図面です。
各部屋の床の高さ(厚さ)、各階の高さ、軒などのサイズ感をチェックしてみてください。
窓やドアの高さといった平面図ではなかなか表現しきれないバランスなどが把握できます。
「矩計図(かなばかりず)」は、断面図をさらに詳細に表した図面です。
矩計図では基礎の高さや構造、床下の断熱処理、壁の断面の様子などがより詳細に把握できます。
平面図をより詳細に書き起こした図面が「平面詳細図」です。
平面図の尺度を上げ、建物の間取りやフローリングの方向までが詳しく確認できます。
家具や建具のサイズや納まりなども詳細に確認できますので、施主の皆さんが何度も確認する図面の1つです。
平面図が1/100や1/200という縮尺で表すのに対し、平面詳細図は1/30や1/50で書き起こしますので、全体の図面ではなく一部を拡大して見るようなイメージです。
「構造図」は柱や梁といった建物の構造部材を表した図面です。
構造図がなければ、住宅を建てることはできません。
構造図には複数の種類がありますが、本記事では「伏図(ふせず)」について紹介します。
伏図とは、構造図のもっとも重要な図面で、柱や梁を平面で書き起こしたものです。
伏図の寸法を読み取ることで建物のおおよその大きさや規模がわかります。
また構造図は構造計算書とあわせて「構造設計図書」と呼ばれ、建物の財産や人命を確保する大切な目的があります。
「展開図」は、部屋の中心から各壁4面を1面ずつ見た状態を図面として示しています。
たとえば平面図は、窓や扉、廊下の広さや各部屋の位置関係をイメージしやすいですが「窓の高さが床上何センチか?」といったことまでは分かりません。
展開図は、各部屋ごとのそういった情報が読み取れます。
施主にとっては、備え付けの家具(キッチンカウンターなど)の実際の大きさなどをイメージするのにも役立ちます。
各種電気設備や給排水設備、ガス設備などの取り付け位置などを示した図面が「設備図」です。
設備図には電気設備図、空調換気設備図、給排水設備図、ガス設備図などを含み、各設備に不具合があると、入居してすぐに生活に支障をきたしてしまいます。
施主のみなさんが特に注意して見てほしいのが「電気設備図」です。
各部屋のコンセント口の位置や数、高さなどを確認しておきましょう。
また照明器具などのスイッチの位置なども電気設備図で確認できます。
「外構図」は建物の外観デザインや玄関、駐車場へのアプローチなどを上空から確認するための図面です。
フェンスのデザイン確認、駐車場の地面はどのような仕上げにするかといった検討も、外構図が参考になります。
また、観賞用や目隠しとしての植物も外構図で確認可能です。
敷地の利用は、注文住宅づくりでは計画の序盤で検討する場合が多く、施主によってこだわるポイントが分かれるところでもあります。
「仕様書」は具体的な工事の内容や方法を記載する書類です。
工事の概要や注意事項、具体的な施工方法のほかに、使用する材料についても詳細に書かれていますので、これまで解説してきた「図面」ではカバーできない内容を多く含みます。
図面では表しきれない部分、つまり仕様書に記載されている内容は建築会社や工務店、施主間でトラブルになる事例も多く、図面とは異なった重要な役割を持っています。
設計図は設計士が書き起こし「建築確認申請」をします。
建築確認申請の合格を確認したら住宅ローンの本審査を申し込む段階ですが、この時点で設計図はほぼ変更できません。
施主のみなさんには、工事が始まってしまったあとで設計図の変更を申し出ても対応が難しいことを知っておいてほしいと思います。
設計図は完成予定の住宅をしっかりとイメージし、担当工務店や設計士とともに入念なチェックを行いましょう。
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