「省令準耐火構造」の基準や性能を解説! メリットやデメリットも
2023.10.29
新築住宅を検討するとき、どんなことが気になるでしょうか。駅や学校までの距離、周辺の環境といった「住みやすさ」も大切ですが、災害や防災対策・予防に関する情報が気になる人もいるかもしれません。
そこで本記事では、一般住宅にも関係してくる「防火地域」「準防火地域」について解説します。
まずは、「防火地域」「準防火地域」についての概要を解説します。
防火地域・準防火地域とは、都市計画法に則って「市街地における火災の危険から住民や利用者、建物を守るために定められた区域」です。
正確には「火災の危険を防除(防いで取り除く)」といい、建物が密集している場所での「延焼の防止」や、消防車といった緊急車両の行き来を妨げないようにすることを目的として定められているエリアです。
例えば場所なら次のような特徴を持つエリアは指定されていることが多くなっています。
また建物も、防火地域・準防火地域に建てる場合は、一定以上の防火性能が必要です。次項からは、防火地域と準防火地域それぞれの建築制限(建物を建てるときのルール)について見ていきましょう。
「防火地域」は火災を防除するために、最も厳しい建築制限が設けられたエリアです。防火地域内の建築制限には次のようなものがあります。
「準防火地域」にも建築制限が設けられています。一般住宅は、基本的にはこの準防火地域で建てることがほとんどです。
防火地域や準防火地域に建物を建てる場合は、階数や延床面積によって一定以上の防火性能を持ったものにしなければなりません。それが「耐火建築物」や「準耐火建築物」と呼ばれるものです。
「耐火建築物」とは、鉄筋コンクリート造や耐火被膜した鉄骨造などを耐火構造で建てられた建物です。窓などの開口部には、防火窓や防火ドア、換気扇も防火ダンパー付きにするといった、一定のルールがあります。
「準耐火建築物」とは、耐火建築物ほどではないものの、耐火被膜を施した建材を使用したり、窓などの開口部に防火措置を行ったりなど一定基準をクリアした建物です。
こうして見比べると、火災に強い建物は、鉄筋コンクリート造といった建物だけではないことがわかります。木造住宅でも「耐火建築物」や「準耐火建築物」にすることは可能です。
とはいえ、木造住宅で耐火構造にするためには、専門的な知識や経験に加え、使う建材などにも工夫が必要であり、そのぶんだけコストがかかってきます。
ここでは、一般的な住宅に比べ、どういった箇所にコストがかかるのかを紹介しましょう。
窓枠サッシは住宅の外壁にあいた開口部であるため、防火構造にしなければなりません。防火性能を持たせたサッシは、一般的なものに比べると約1.5〜2倍程度かかるとされています。
壁内にはファイヤーストップ材が必要です。ファイヤーストップ材とは、空気の流れを遮断する枠材で、壁内に設置しておきます。木造住宅で火災が発生したとき、火が他の部屋に燃え広がるのを遅らせる効果があります。
外壁や軒裏も防火構造にする必要があります。
屋根は不燃材を使用しなければなりません。
「延焼ライン」とは、隣家の火災の影響を受けるおそれのある部分です。具体的には1階が隣地境界線(または道路中心線)から3メートル、2階が5メートル以上離して建てなければなりません。
他にも細かな規定がありますが、こういった対策が必要なため、防火地域や準防火地域に家を建てたい場合は、制限する必要性がでてくるかもしれません。
※コウダイコメント
ちなみに、延焼ラインは”斜め”で計算することも可能です。規定をクリアした防火壁などを通常の壁から伸ばして設置し、隣地境界線や道路中心線から斜めに距離を取ることで、上手く延焼ラインを稼ぐといった方法もあります。
ここでは、新潟市で新築住宅を建てるときに防火地域を調べる方法を紹介します。
新潟市が公開している地図情報サービス「にいがたeマップ」は、ハザードマップや新潟市内の企業情報などが掲載された公式Webサイトです。にいがたeマップの機能を使って防火地域と準防火地域を確認できます。
地図によると、新潟市中央区はほぼ「準防火地域」に指定されていますね。
防火地域と準防火地域について解説してきました。家は「住みたい家か住みたい場所で決めるのが大切」と説明してきましたが、今回紹介した防火地域と準防火地域は、そのどちらにも関係してくる要素です。しかしながら、不動産屋さんは「準防火地域です」までしか説明がありません。
耐火建築物(準耐火建築物)は、記事本文でも解説したように、工務店側にも専門的な知識や経験が必要です。それらの住宅施工が得意な住宅会社選びがポイントになってきます。もし住みたい場所が該当していたら、担当工務店に「準防火地域で上手く設計したことありますか?」や「事例はありますか?」と質問し、施工可能かどうかを確認してみることが大切です。
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