高気密・高断熱住宅とは
高気密・高断熱住宅は、その名の通り、気密性や断熱性が特に高い住宅を指します。しかし、驚くことに、これらを「高気密・高断熱」と定義する明確な基準は存在しません。工務店やハウスメーカーは独自の基準に基づき、「高気密・高断熱住宅」として住宅を市場に提供しています。
2021年時点で、断熱基準や省エネ基準など、住宅性能を保証するための基準化や義務化は進行中です。しかし、これらの基準が「高気密・高断熱」住宅であるかを判定する基準とは異なります。それでも、多くの工務店が新しい基準を満たす住宅を提供していることを考えると、これらの表現が誇張されているわけではないことがわかります。
【住宅の「断熱性(高断熱)」に関する指標】
住宅の断熱性を測定する主要な数値には「Ua値」があります。これは、家の外にどれだけ熱が逃げやすいかを表す指標で、数値が低いほど断熱性が高いことを意味します。この値を計算するには、屋根や壁、床など各部材の断熱性能、それらの組み合わせによる断熱性、さらには換気による熱の変動も考慮する必要があります。
【住宅の「気密性(高気密)」に関する指標】
住宅の気密性を表す指標には「C値」が使われます。これは、住宅にどれくらいの隙間があるかを示す数値で、1平方メートルあたりの隙間面積を示します。C値が小さいほど、住宅は高い気密性を有していると評価されます。
なぜ「高気密・高断熱」住宅にしたいかを考えよう
住宅の気密性や断熱性について解説しましたが、Ua値やC値はあくまで各性能を表すための数値です。
結局のところこれらの数値は「高気密・高断熱」の明確な基準かどうかを説明しているわけではないということが分かっていただけたかと思います。
工務店がアピールしている「高気密・高断熱」は、新築住宅を検討している人にとって魅力的なワードですが、大切なのはなぜ高気密・高断熱にしたいのかという点であることも知っておきましょう。
ここからは、高気密・高断熱住宅に対するよくある疑問を紹介します。
住宅性能についての理解を深めるためにぜひ参考にしてみてください。
【高気密・高断熱住宅の夏の過ごし方】
気密性や断熱性に優れた住宅は、その性質上いったん熱を取り入れたら外に放出しにくい性質があります。
例えば、夏場に窓を閉め切り、カーテンを開けて太陽の光を取り込み、エアコンの運転を停止させた場合は当然ながら蒸し風呂のようになってしまうわけです。
ですが、涼しいときは窓を開け室内の空気を十分に入れ替えたあと冷房を使えばしっかりと冷えてくれます。
むしろ気密性・断熱性に優れた住宅なら、そのまま涼しい室内をしっかりとキープしてくれるのです。
住宅の性能をしっかりと理解することが大切です。
【高気密・高断熱住宅の価格相場】
高気密・高断熱の住宅は、一般的な注文住宅やローコスト住宅と比べると費用の面で心配になってしまうかもしれません。
性能の良い素材や最新の建築技術をフルに取り入れた高性能住宅であれば、当然ながらその分建築費用は高くなってしまいますが、結局のところいくらかかるのかは、皆さんが求める住宅性能によって異なります。
各社によってさまざまな高気密・高断熱住宅製品がありますので、まずはお近くの工務店に相談してみましょう。
【高気密・高断熱住宅は結露やカビが発生しやすい?】
外気温の影響を受け、水分を多く含んだ室内の空気が冷やされることによって発生する「結露」や、結露や湿気の多い場所にホコリや汚れが溜まるなどして発生する「カビ」は、まず環境や状況によって左右される要素が大きいということを理解してほしいと思います。
そのうえで、気密性・断熱性の高い家は、結露やカビが発生するメカニズムを理解して、工法や素材、計画換気(24時間換気)などを総合して施工し、可能な限り結露が発生しにくい環境を目指していることは間違いありません。
しかしながら、お風呂場やキッチンといった水場には結露が発生することもあります。
また、こまめな掃除を怠るなどしてしまうと、そこからカビの発生源となってしまいますので、十分注意してください。
【高気密・高断熱住宅の省エネ効果】
気密性や断熱性は、国土交通省が定めた「建築物省エネ法」に基づいて一定の基準が定められています。
実は「建築物省エネ法」の定める基準は「最低限・最低ライン」のものであり、高気密・高断熱住宅の性能は、そこにさまざまな工夫や高機能な設備を導入して実現しています。
一般的な注文住宅やローコスト住宅に比べればもちろん省エネ性能は高いですが、ひと言で答えるのは難しい部分もあります。
各工務店の高性能住宅によってさまざまな製品がありますので、気になる場合は担当工務店に相談してみましょう。